中国を中心に、犬や猫などのペットに鍼灸治療を行う人々が増加。国際獣医鍼灸学会(IVAS=本部:米オレゴン州ポートランド)も結成され、米国などでもペットの鍼灸治療が広っていることが分かった。BBC放送(中国語版)が報じた。
鍼灸の本場である中国では、数十年前から犬や猫などのペットに対して鍼灸治療を施している。
北京のある動物病院では年間2000頭以上の動物が治療を受けており、人間の鍼治療と同じように、獣医師が動物の体のツボに鍼を刺したり、灸をすえたりしている。関節炎だけでなく、呼吸器系や神経系の障害にも効果があるとされている。
欧米の獣医の間では、研究が十分なペットへの鍼灸治療には十分な根拠がないとの見方が多かったという。
しかし、現在1900人の獣医師らが会員となっている国際獣医鍼灸学会は8月初旬、オーストラリアのケアンズで総会を開催し、「何千人ものペットの飼い主が、特に高齢で病気のペットが鍼灸治療で症状が改善したと証言している」と報告している。
米国動物病院協会などによると、米国ではペットの寿命を延ばしたいという人々が増えており、ペット用医薬品の産業が年々拡大していると分析。欧米でも徐々にペットの鍼灸治療の報告例が増えていることから、「ペット治療は医薬品投与だけでなく、近い将来、鍼灸やマッサージなどの代替療法が動物医療の世界にも拡がっていく可能性がある」との報告書をまとめている。