実際、石川は彼らにどんなアドバイスをしたのだろうか。加賀が明かす。
「指導してもらうというより、ただ歌を聴いてもらった、という印象ですね。一回りも二回りも年上で、芸能界の先輩に助言もしにくいでしょうし……何より、みんな本人の前で歌いたかっただけなんです。それで満足でした(笑い)。会が終わったのは夜の9時頃だったと思います。記憶が定かじゃないけど、みんな真剣に歌っていましたから、あっという間でしたよ。石川さんは聴くだけで、大変だったでしょうけど(笑い)」
会は1回きりだったが、これを機に加賀と石川はその後も長くつきあいが続いているという。石川は“先生”として招かれたわけだが、大女優たちの熱唱は逆に石川に大きな影響を与えたようだ。
「石川さんは当時、『天城越え』をどう歌えばいいのかわからず、悩んでいたそうです。あの歌詞を情念こめて歌えるだけの女性としての経験というか、“引き出し”がなかった。そんなときに大先輩らがそれぞれの解釈で歌う『天城越え』を聴いて、曲の理解が深まったといいます。この会の後、石川さんの歌い方が変わったという人までいます」(前出・音楽関係者)
石川にとって忘れられない夜になったようだ。
※女性セブン2022年9月15日号