保護猫たちは室内で過ごす
ブログで詳細に毎月ごとの会計報告もしている。例えば7月度は、収入1,573,741円(寄付金1,346,986円、チャリティーグッズ売上の一部を寄付として100,075円など)、支出1,695,922円(医療費347,492円、餌代43,645円、水道光熱費128,095円など)といったように、1円単位ですべて明らかだ。
「テレビに出させていただいたおかげもあって、全国から寄付が集まります。『寄付を集めて儲けているんだろう』と言われることもあるので、大切に使うのはもちろん、現状を知っていただくためにも、使用用途をきちんと報告しています。
私自身はお金の勘定が苦手なのですが、経理面でも信頼できるスタッフがいるので助かります」
ここで働くスタッフたちは、中原さんの考えに賛同し惹きつけられて、自分も力になりたい、と集まっているようだ。
「中原さんは直情的なところがあり、そのフォローが大変なこともあります(笑い)。でもそれは犬猫に対する思いが強いための言動です。誤解されることもありますが、誰にも真似できないほどの思いや行動力があるので、手助けしたくなってしまいます」
と、その場にいたスタッフが話してくれた。
保護施設のスタッフたちは、中原さんの行動力と思いを知るからこそ、ここで働いているという
今回の報道でいろんな意見が寄せられているが、応援してくれる声も多く届いている、と中原さん。以下は、送られてきたメッセージの一部を抜粋したものだ。
<今回の記事で貴団体を初めて知りました。ネガティブな記事ではありましたが、貴団体のHPを拝見し、目標や理念に心より共感した次第です>
<運営が難しいであろう大変な活動をなさっているので、批判や逆風もあると思いますが、世間の偏見に負けず、素晴らしい活動を成し遂げられることを、心よりお祈りしております>
こういった支援を受け、中原さんは犬猫保護活動をライフワークにしていくのだろう、と思ったが実はそうではないようだ。
「動物愛護活動をされる方から、『犬猫保護施設を作ろうと思っています』といった相談をよく受けるのですが、『やめたほうがいいですよ』とお答えしています。冗談かと思われますが、本心です。
このような施設がなくなっていくことが私の目指すところです。縮小していこうと計画を立て始めた2019年12月から、頭数も半分以下に、敷地も1000坪のうち半分ほど使っていた時から、今は240坪程に縮小してきています。このままいけば、確実に保護施設閉鎖へ向かっていけます。
私の将来の夢・目標は、ついに保護施設がなくなって、自分の家に自分で飼えるだけの犬猫を引き取って、一緒にのんびり暮らすことです」
と中原さんは日焼けした笑顔でまっすぐに答えてくれた。
こういった問題は、それぞれの立場、状況で思うところ、感じることは変わるから、正解があるわけではない。それでも実際に自分の目で見て知ることができてよかった。
右奥が宮古島セーブザアニマルズの建物。隣接地には新しい家やマンションの建築が始まっている。いずれの家も、宮古島セーブザアニマルズの活動を理解し、犬の鳴き声が24時間多少聞こえる状況とわかった上で購入しているという
別角度から見た全景。左奥が保護施設。手前の土地も、宮古島セーブザアニマルズの活動に賛同する人が5月に購入し整地が始まった
文・池田アキラ