宮古島の年間平均気温は23度。保護犬猫たちは通常、空調の整った屋内で過ごし、交替で屋外に出て遊ぶ
この保護施設には現在、約100頭の犬猫が保護されている。屋外には、相性などによって分けられたグループごとに交替で10頭ずつくらい出ている。常夏の宮古島、猫は全て、犬も大半はコンクリートの建物のクーラーが効いた室内で過ごしている。規模の大きい施設ではあるが、1頭1頭がきちんと目配りされ快適に過ごしている印象をもった。
そもそも、なぜこの土地に保護施設を作ったのか。中原さんはこう話す。
「私が宮古島に移住してから1年ほどたったころ、宮古で犬猫の保護活動をしていた方から、『保護施設として使用している施設が使えなくなり活動が継続できなくなったので60頭の犬猫を引き取ってほしい』と言われたのがきっかけです。
この土地はもともとブリーダーさんが100頭ほどの犬を飼っていたのですが、2016年くらいから使われず空いていました。
そこで、そのブリーダーさんが、よかったら使って、と言ってくれたので、2019年に1000坪あったこの土地を購入し、私が代表となって『宮古島セーブザアニマルズ』を設立しました。
なので、実際は突然私がこの土地を開拓して犬猫を飼い始めたわけではないのです」
設立当初は、引き継いだ犬65頭、猫60頭と自身で保護していた犬猫10頭でスタートした。保健所に収容された犬猫を全て引き出して受け入れているうちに犬120頭、猫50頭までになっていた。
「スタートした当初は私も無知で、殺処分ゼロにするために保健所から犬猫を引き出すことを主に考えていました。
でも、それでは引き出しても引き出しても保健所に犬猫が送り込まれ、限界があるとわかったのです。そこで、避妊去勢手術など医療ケアに重点を置き、保護犬猫を減らしていくようにシフトしました」(以下カッコ内、中原さん)
何トンものペットフードが外に放置され、カラスやネズミ、野良猫に荒らされて近隣の住民が迷惑しているという報道もあったが・・・・・・。
これは私の確認不足で反省する点もあるのですが、と中原さんは事情を説明してくれた。
「あるメーカーさんが、賞味期限が半年しかないペットフードの在庫があるので送ります、と言ってくださったので、ありがたくいただきました。でも、私がその量をきちんと確認していなかったため、思っていた10倍もの量が届いてしまったのです」
山積みで届いたドックフード。地元の新聞や口コミで「避妊去勢手術をしている犬猫を飼われている方、避妊去勢手術をしていただける方やTNR(TrapNeuterReturn=野良猫を捕獲し、避妊去勢手術を行い元の場所に戻すこと)に協力して下さる方に無料配布します」と伝えて、島民に配った。
しかし、それでも消費しきれず、屋内に保管できない分はビニールシートをかけて屋外に保管していた。
「結局、賞味期限も切れ、残った分は業者さんに頼んで廃棄処分になってしまいました。あの頃は保護している頭数もマックスで自分のできる限界を超えていました。それでも確認しなければならない重要なことを見落としてはいけなかった、と反省しています」