――実際に体感された重低音と、それだけでは耳に入りにくいから機械的な金属音を混ぜた、と。
柴崎:そうですね。まずは体感に近づけることから考えました。
それは機銃掃射の描写も同じです。何発かバアーッと撃った時に、バリバリバリッ!っていう音がします。それは爆発というよりは、壊れていくような音でした。
それを表現するために、音を歪ませているんです。実際に録ってきた音も歪んでいましたが、そこに低い音を加えて、音のふくらみを作り直しているんですよ。なるべく嘘くさくならないようにするために。
【プロフィール】
柴崎憲治(しばさき・けんじ)/1955年生まれ、埼玉県出身。アルカブース代表取締役。音響効果の重要性を映画界に認知させた立役者の一人。「日本一多忙な音効マン」の異名も。今年公開の担当作に『大怪獣のあとしまつ』『死刑にいたる病』『峠 最後のサムライ』など。
【聞き手・文】
春日太一(かすが・たいち)/1977年生まれ、東京都出身。映画史・時代劇研究家。
※週刊ポスト2022年9月16・23日号