大谷翔平のプロ入り当初から二刀流に理解
阪神の矢野燿大監督がキャンプイン前日に今季限りでの退任を発表すると、来季の阪神監督として落合氏の就任を望む声も上がった。
「中日の監督時代、親会社が新聞社であるにもかかわらず、マスコミと距離を取ったことで、球団内で落合氏の評判は芳しくなかった。そのため2010年、2011年と連覇したにもかかわらず、事実上の解任になった。ですから、中日以上の人気球団で、マスコミとの対話を求められる阪神や巨人の監督を務めることはまずないのではないか。要請があれば受けるかもしれませんが、球団内で『落合で行こう』と一致団結するとは考えにくい。
ロッテは落合さんのいた昭和の頃と比べ物にならないほど人気がありますが、メディアで取り上げられる回数は巨人や阪神ほどではない。『常勝軍団を作る』という意気込みが本物なら、ロッテは落合監督招聘を真剣に考えるべきでしょう」
ロッテは球界の宝である佐々木朗希を抱えている。3年目の今季は4月10日に完全試合を達成するなど9勝を挙げたが、1試合の最高球数は105球。先発20試合で100球を超えたのは2試合のみだった。
「中日監督時代、猛練習で選手を鍛えて常勝チームを作り上げた落合さんですが、投手のことは森繁和ピッチングコーチに全て委任していた。落合さんは自分の専門外のことに余計な口を出さない。それが混乱を招くと知っているからでしょう。だから、もしロッテの監督になれば、佐々木朗希の育成も安心して任せられると思います。
大谷翔平が日本ハムに入団した当初、評論家が異口同音に二刀流に猛反対する中で、落合さんは『やらせればいい』と話していた。人間は年を取ると頭が硬くなりますが、落合さんは柔軟な思考を持っている。12月で69歳になり、2013年には顔面麻痺で倒れたこともあった。健康面の心配は少しありますが、年齢的に考えてもロッテが指揮を頼める最後のチャンスかもしれない」
日本のプロ野球が2リーグに分裂して以降、監督最終年に優勝し、以降どの球団でも指揮を執っていないのは広岡達朗氏、トレイ・ヒルマン氏、落合博満氏、秋山幸二氏の4人しかいない。もう一度、“落合監督”は誕生するのか。それとも、伝説のままで終わってしまうのか──。