『さよなら人類』の「着いたー！ 」誕生秘話
たま時代の秘話を語る石川さん（写真／横田紋子）
──メンバーがそれぞれ作った曲を持ち寄るなかで、意見がぶつかったりはしなかったですか。
「僕らの曲の作り方は、作ってきた人がその曲のアレンジも決めていく。例えば『かなしいずぼん』っていう曲があるんですけれど、知久（寿焼）君が1コードでずっとギターを弾いていたんです。それじゃあ変化がなさ過ぎるって言って、柳原（幼一郎）が途中でBメロを歌い出して、そこに僕がいきなりセリフ言ったら面白いんじゃないかと思って、適当なこと言ったり……。最後はみんなそれぞれ別のコーラスをしながら一体感を出すみたいな構成になった」
──凄く独特な作り方なのですね。
「セッションから曲を作る時は“他の人が作ってきた曲のイメージをむしろ壊してやる”みたいな雰囲気だったんです。だから暗い曲調でも明るくしたりとか、その逆で明るい曲でも暗くしたりとか。いかに自分の見せ場を作るかとか考えていくと、どんどん曲のイメージが膨らんでいったんです」
──見せ場で言うと、みなさん『さよなら人類』の「着いたー」は印象深いと思います。
「あれは偶然ですね。僕もコーラスしようと思ったけれど、コーラスにも向かないから、とっさに『着いたー』って言ったら、それ面白いねっていうことになったんですよ。でもそこで他のメンバーに拒否されたら、やめていますね。嫌だなと思われているのに、無理やりやるようなことはしない。でも何でもやってみて、その中で“ちょっとうるさいかな”とかは、よく話し合っていましたね」
──チームワークが良いですね。
「たまをやりながら、ほかのバンドやソロをやっていたからじゃないかな。これは、たま向きじゃないなって曲の場合は、ソロでやればいいっていう判断ができたんです。だからメンバー同士もぶつからなかったんじゃないですかね」
