警察や軍関係、暴力団組織などの内部事情に詳しい人物、通称・ブラックテリア氏が、関係者の証言から得た驚くべき真実を明かすシリーズ。今回は、消費者庁に6か月の取引停止の行政処分を命じられた日本アムウェイ合同会社について。
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14日、消費者庁が「日本アムウェイ合同会社」に6か月の取引停止命令を出した。アムウェイといえば、連鎖販売取引やネットワークビジネスと呼ばれる手法で成長してきた企業として有名だが、行政処分を受けたのはこれが初めてのこと。連鎖販売取引・マルチ商法(MLM:マルチレベル・マーケティング)は、昭和の時代から強引な勧誘手法が問題視され、度々世間を騒がせてきた。それだけにアムウェイが初の行政処分を受けたと聞き、意外に思った人も多かったのではないだろうか。
消費者庁のHP・特定商取引法ガイドによると、連鎖販売取引とは、「個人を販売員として勧誘し、更にその個人に次の販売員の勧誘をさせるという形で、販売組織を連鎖的に拡大して行う商品(権利)・役務の取引のこと」とある。禁止行為は明確に定められており、今回は社名や目的を言わず、密室に連れ込んで勧誘したなど4つの違反によるものだという。おそらくSNSを利用した違法勧誘の被害や相談が増加してきたことから、消費者庁が動いたのだろう。
マルチ商法が問題視されていた20年ほど前、いくつかの連鎖販売業者を取材したことがある。業界トップであったアムウェイは、一部の強引な勧誘手法により告発本が出版されたり、週刊誌などで盛んに批判され、評判やイメージは決してよくなかった。被害相談などを受けていた国民生活センターのある職員は、「昔も今もトラブル相談はなくなっていません。会社が全ての販売員をコントロールすることは不可能に近い。たとえアムウェイがクリーンな会社になったとしても、連鎖販売取引という手法自体が強引な勧誘が行われやすい仕組みになっている」と語っていた。。
ところが驚くことに、本社のある米国ではその販売方法に批判する声はあるものの、企業としては日本とは異なる捉え方をされていた。米国ではアムウェイのような販売手法をダイレクト・セリング、直接販売と呼ぶ。米国ワシントンにあるダイレクト・セリング協会などを取材した際、創業家の政財界との関わりや、ダイレクト・セリングが持っていた違う一面を、業界事情に詳しいロビイストに聞かされた。