ライフ

和田秀樹氏が「優秀な医師ほど薬は飲まない」と考える理由 薬剤師の発言力がないことが問題

和田秀樹医師は薬とどう付き合っているのか

和田秀樹医師は薬とどう付き合っているのか

 薬にはベネフィット(利益)とともにリスクがつきものだ。薬をたくさん飲みすぎる「多剤併用」の解消は多くの人にとっての課題だが、『80歳の壁』著者で精神科医の和田秀樹医師は「優秀な医者ほど、自分では薬なんて飲んでいませんよ」と明かす。和田医師が、日本の医療の「薬」に関する問題点を指摘する。

 * * *
 昔の医者は患者さんに薬は出すけど自分は飲みたがらない、という人が多かったように思います。

 それが最近は、医者でも健康診断の数値が悪かったら、「血圧」や「コレステロール」を下げようとして薬を何種類も飲むような人が増えてきた。

 その理由を突き詰めて言えば、医者に対する「教育」が悪いからです。

 検査データをすべて正常値の範囲内に収めなければダメだと思い込んでいる。患者さんだけでなく、医者も“高血圧教”の信者になっているようなものです。

 だから、例えば僕みたいに血圧が200以上になることがあると、焦って薬を飲んで数値を下げようとするわけです。

 でも血圧のコントロールは食事、運動などの生活習慣の改善が必要なんですよ。そもそも、数値だけにこだわる必要がありません。医学的な統計上、高齢になるほど血糖値もコレステロール値もBMIも、基準値より少し高めのほうが元気で長生きできるのです。

 最新の知見に基づく情報を正しく仕入れている優秀な医者ほど、そのことを知っているので薬は飲みません。

 例えば健康診断では腹囲と血圧、血糖、脂質の数値をもとに「メタボ」かどうかが判定されます。しかし、その「メタボ」という言葉、概念を日本で広めた大学の先生自身が、ちっとも痩せていませんから(笑)。ご自身はそのほうが元気で長生きできると知っているのでしょう。

 そもそも、病気か健康かの診断を分ける現在の「基準値」は厳しすぎます。もっと言えば、“間違って”いる。

 薬を飲ませるために「基準値」を下げ、正常とされる範囲内に患者の数値を収めようとして、薬をどんどん出す。そうやって、多剤処方に歯止めがかからない構造を生み出しているのです。

関連記事

トピックス

水原一平受刑者の一連の賭博スキャンダルがアメリカでドラマ化(gettyimages /共同通信社)
《大谷翔平に新たな悩みのタネ》水原一平受刑者を題材とした米ドラマ、法的な問題はないのか 弁護士が解説する“日米の違い”
NEWSポストセブン
広末涼子(時事通信フォト)
《時速180キロで暴走…》広末涼子の“2026年版カレンダー”は実現するのか “気が引けて”一度は制作を断念 最近はグループチャットに頻繁に“降臨”も
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
【動画】前橋市長選出直し 小川晶氏 支援者集会で 涙の演説
【動画】前橋市長選出直し 小川晶氏 支援者集会で 涙の演説
NEWSポストセブン
前橋市長選挙への立候補を表明する小川晶前市長(時事通信フォト)
〈支援者からのアツい期待に応えるために…〉“ラブホ通い詰め”小川晶氏の前橋市長返り咲きへの“ストーリーづくり”、小川氏が直撃に見せた“印象的な一瞬の表情”
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた新木優子と元Hey!Say!JUMPメンバーの中島裕翔
《20歳年上女優との交際中に…》中島裕翔、新木優子との共演直後に“肉食7連泊愛”の過去 その後に変化していた恋愛観
NEWSポストセブン
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
金を稼ぎたい、モテたい、強くなりたい…“関節技の鬼” 藤原組長が語る「個性を磨いた新日本道場の凄み」《長州力が不器用さを個性に変えられたワケ》
NEWSポストセブン
記者会見に臨んだ国分太一(時事通信フォト)
《長期間のビジネスホテル生活》国分太一の“孤独な戦い”を支えていた「妻との通話」「コンビニ徒歩30秒」
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(EPA=時事)
《“勝者と寝る”過激ゲームか》カメラ数台、USBメモリ、ジェルも押収…金髪美女インフルエンサー(26)が“性的コンテンツ制作”で逮捕されなかった背景【バリ島から国外追放】
NEWSポストセブン
「鴨猟」と「鴨場接待」に臨まれた天皇皇后両陛下の長女・愛子さま
(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《ハプニングに「愛子さまも鴨も可愛い」》愛子さま、親しみのあるチェックとダークブラウンのセットアップで各国大使らをもてなす
NEWSポストセブン
SKY-HIが文書で寄せた回答とは(BMSGの公式HPより)
〈SKY-HIこと日高光啓氏の回答全文〉「猛省しております」未成年女性アイドル(17)を深夜に自宅呼び出し、自身のバースデーライブ前夜にも24時過ぎに来宅促すメッセージ
週刊ポスト
今年2月に直腸がんが見つかり10ヶ月に及ぶ闘病生活を語ったラモス瑠偉氏
《直腸がんステージ3を初告白》ラモス瑠偉が明かす体重20キロ減の壮絶闘病10カ月 “7時間30分”命懸けの大手術…昨年末に起きていた体の異変
NEWSポストセブン