棋士が代理人弁護士の助力を受けて連盟と対峙するとなれば、2016年の「AIカンニング疑惑」以来のことだ。当時、連盟は疑惑が浮上した棋士に出場停止処分を下すも、第三者委員会の調査の結果、「不正の証拠はなかった」と発表され、“冤罪”の責任を取るかたちで谷川浩司会長が辞任した。
「タイトルを争う立場のトップ棋士が連盟の運営中枢を担う体制が冤罪を生む一因となったが、今回も佐藤会長が当事者2人と同じくA級順位戦を戦う“利害関係者”である問題が指摘されており、組織運営の議論にもつながる。カンニング騒動後に藤井聡太五冠が登場して将棋人気は復活したが、連盟の組織構造がそのままでいいのか、議論は深められないままできた面もある」(同前)
連盟は不服申立書を受理したと発表。佐藤会長、鈴木理事を除く常務会が対応を検討するという。訴えの行方はどうなるか。注視しなくてはならない。
(前編から読む)
※週刊ポスト2022年11月18・25日号