スポーツ

【ドキュメント戦力外通告】寺島成輝、福井優也らドラ1選手さえ早々に

2010年の広島ドラ1、2019年にトレードで東北楽天に移籍した福井優也(時事通信フォト)

2010年の広島ドラ1、2019年にトレードで東北楽天に移籍した福井優也(時事通信フォト)

 公式戦最終戦でナインから胴上げされ、大歓声のなか球場を一周してファンとの別れを惜しむ──そんな “理想の最後”を迎えられるプロ野球選手は少ない。人知れずクビを告げられ、新たな道を模索する。「戦力外」となった男たちの物語をノンフィクションライターの柳川悠二氏がレポートする。【全3回の第3回。第1回から読む

 * * *

「12年はあっという間」

 ドラフト上位で入団した選手が、早々に戦力外や育成契約へ移行するのが現在の野球界の風潮だ。

 今オフも東京ヤクルトの2016年1位・寺島成輝(24)や、広島の2017年2位・山口翔(23)が戦力外となった。古豪・熊本工業出身の山口は高校時代に大きなライバルがいた。九州学院の村上宗隆だ。

 山口にとって、2年目のプロ初先発の相手が村上のいるヤクルトだった。7回2死まで無安打投球を続けるも、村上に初安打を許してノーノーは達成ならず。それでも初勝利を挙げた。この日の投球がベストピッチだ。

「その日の投球を超えることを期待されていましたし、誰より自分が超えたかった。でも、3年目から力だけでは抑えきれないことを自覚するようになり、低めにボールを集めようとするあまり投球フォームを見失った。イップスではないと思いますが、年々、(MAX151キロだった)球速は落ちていきました」

 トライアウト参加後、独立リーグと社会人のチームから声がかかった。

「まだ決めていませんが、おそらく独立に行きます」

 いつの日か村上と再戦することを夢見て新天地に挑むはずだ。

 2010年のドラフトで広島に1位入団し、2019年にトレードで東北楽天に移籍した福井優也(34)ほど、アマチュア時代に「栄光」と「苦節」を味わった野球人もいない。愛媛・済美高校では2004年春の選抜で初出場ながら優勝、夏も決勝に進出した。

 翌年秋に巨人から4位指名を受けるも、入団拒否。1年間の浪人生活ののち、早大に進学した。

関連キーワード

関連記事

トピックス

6月6日から公開されている映画『国宝』(インスタグラムより)
【吉沢亮の演技が絶賛】歌舞伎映画『国宝』はなぜ東宝の配給なのか 松竹は「回答する立場にはございません」としつつ、「盛況となりますよう期待しております」と異例の回答
NEWSポストセブン
さいたま市大宮区のマンション内で人骨が見つかった
《さいたま市頭蓋骨殺人》「マンションに警官や鑑識が出入りして…」頭蓋骨7年間保管の齋藤純容疑者の自宅で起きた“ある異変”「遺体を捨てたゴミ捨て場はすごく目立つ場所」
NEWSポストセブン
大谷翔平の投手復帰が待ち望まれている状況だが…
大谷翔平「二刀流復活でもドジャースV逸」の悲劇を防ぐカギは“7月末トレード” 最悪のシナリオは「中途半端な形で二刀流本格復活」
週刊ポスト
フランスが誇る国民的俳優だったジェラール・ドパルデュー被告(EPA=時事)
「おい、俺の大きな日傘に触ってみろ」仏・国民的俳優ジェラール・ドパルデュー被告の“卑猥な言葉、痴漢、強姦…”を女性20人以上が告発《裁判で禁錮1年6か月の判決》
NEWSポストセブン
ホームランを放った後に、“デコルテポーズ”をキメる大谷(写真/AFLO)
《ベンチでおもむろにパシャパシャ》大谷翔平が試合中に使う美容液は1本1万7000円 パフォーマンス向上のために始めた肌ケア…今ではきめ細かい美肌が代名詞に
女性セブン
ブラジルへの公式訪問を終えた佳子さま(時事通信フォト)
《ブラジルでは“暗黙の了解”が通じず…》佳子さまの“ブルーの個性派バッグ3690レアル”をご使用、現地ブランドがSNSで嬉々として連続発信
NEWSポストセブン
告発文に掲載されていたBさんの写真。はだけた胸元には社員証がはっきりと写っていた
「深夜に観光名所で露出…」地方メディアを揺るがす「幹部のわいせつ告発文」騒動、当事者はすでに退職 直撃に明かした“事情”
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
「生肉からの混入はあり得ないとの回答を得た」“ウジ虫混入ラーメン”騒動、来来亭が調査結果を公表…虫の特定には至らず
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:2月6日、懲役刑を言い渡された時の水原被告(左:AFLO、右:時事通信)
《3度目の正直「ついに収監」》水原一平被告と最愛の妻はすでに別居状態か〈私の夢は彼と小さな結婚式を挙げること〉 ペットとの面会に米連邦刑務局は「ノー!ノー!ノー!」
NEWSポストセブン
“超ミニ丈”のテニスウェア姿を披露した園田選手(本人インスタグラムより)
《けしからん恵体で注目》プロテニス選手・園田彩乃「ほしい物リスト」に並ぶ生々しい高単価商品の数々…初のファンミ価格は強気のお値段
NEWSポストセブン
浅草・浅草寺で撮影された台湾人観光客の写真が物議を醸している(Xより)
「私に群がる日本のファンたち…」浅草・台湾人観光客の“#羞恥任務”が物議、ITジャーナリスト解説「炎上も計算の内かもしれません」
NEWSポストセブン
ブラジルを公式訪問されている秋篠宮家の次女・佳子さま(時事通信フォト)
《スヤスヤ寝顔動画で話題の佳子さま》「メイクは引き算くらいがちょうどよいのでは…」ブラジル訪問の“まるでファッションショー”な日替わり衣装、専門家がワンポイントアドバイス【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン