選手交代の通告が無かったと審判(左)から指摘を受ける中日の立浪和義監督(時事通信フォト)
二遊間を一から作り直さなければならない
積極的なトレードも星野監督譲りだが、異なる点があるという。
「星野監督はベテランを放出してチーム改革を図るという明確な目的がありました。大島も平野も大豊も成績が下降していた。しかし、立浪監督はバリバリのレギュラーである阿部をトレードに出した。阿部は12月で33歳とベテランに差し掛かる年齢ですが、30歳になる年に定位置を確保した遅咲きです。西武から中日にFAで移籍した和田一浩のように、30代中盤以降も成績を伸ばしていく可能性がある。京田は28歳で、今がプロ野球選手として一番いい時期でしょう。彼ら2人を出して、ベテランのピッチャーを獲ることが吉と出るか凶と出るか」
涌井はNPB史上初めて西武、ロッテ、楽天と3球団で最多勝を獲得した大投手だが、来季37歳になるベテラン。2020年11勝から昨年は6勝、今年は4勝と、成績は下降気味だ。砂田は来季28歳の中堅で2017年に62試合、翌年に70試合、2021年に58試合とフル回転した。立浪監督は貴重な左の中継ぎとして期待しているが、今年は15試合登板で防御率5.68と奮わなかった。
「トレードの成功失敗は数年経たないとわかりません。とはいえ、涌井は大ベテランでセ・リーグは初めてですし、砂田は登板過多の影響も考慮しなければならない。2人とも伸びしろをあまり感じられないという声もあります。この点が不安材料です。
また、野球で最も大事とされるセンターラインの二遊間を放出した影響がどうなるかも未知数です。中日は井端弘和と荒木雅博のアライバコンビがいたから落合監督時代に黄金期を築けたと言っていい。立浪監督自身は現役時代に二遊間を守っており、誰よりもその大切さをわかっているはずなのですが……。二遊間でいかに併殺を取れるかはチームの勝敗に直結する。そうしたなかで、中日は二遊間のコンビネーションを一から仕上げないといけない。はたして来季に間に合うのか」
期待と不安が入り交じる立浪監督の大改革は、どのような結果に結びつくのか──。
