多くの命を奪い、自由を抑圧する全体主義体制を構築した(Getty Images)
国際的な非難をものともせず、ウクライナへの侵攻を続けるロシアを理解するうえで、スターリン時代を知ることが有意義だと舛添氏は言う。
〈スターリンは、ヒトラーとの戦いに勝利しましたが、自分の意のままに1000万人を超える人間の命を奪い、自由を抑圧する全体主義体制を構築しました。イギリスの作家、ジョージ・オーウェルは、『1984』や『動物農場』というディストピア小説で、スターリニズムの危険性を訴えました。
東西冷戦は終わり、ソ連邦も解体しましたが、全体主義独裁の脅威が地上から消え去ったわけではありません。権力によるプロパガンダの手法も、SNSが普及したことによって、より巧妙なものに変わりつつあります。今のロシアも、たとえばアメリカの大統領選挙に介入するなど、その分野では精緻な技法を編み出しています〉(前掲書)
ウクライナへの侵略行為を続けるプーチンが、その先に見ている世界とは何か。それを読み解く鍵が、ソ連の独裁者・スターリンが辿った道にある。
*『スターリンの正体 ヒトラーより残虐な男』(小学館新書)を一部抜粋、再構成
【プロフィール】
舛添要一(ますぞえ・よういち)/1948年、福岡県北九州市生まれ。1971 年東京大学法学部政治学科卒業。パリ(フランス)、ジュネーブ(スイス)、ミュンヘン(ドイツ)でヨーロッパ外交史を研究。東京大学教養学部政治学助教授などを経て、政界へ。 2001年参議院議員(自民党)に初当選後、厚生労働大臣(安倍内閣、福田内閣、麻生内閣)、東京都知事を歴任。著書に『都知事失格』、『ヒトラーの正体』、『ムッソリーニの正体』、『スターリンの正体』など。