スポーツ

「祖父は相場師、父は『麦と兵隊』に登場」力道山未亡人は家族も激動の人生だった【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#2】 

夫・力道山の墓参りに訪れた敬子さん

夫・力道山の墓参りに訪れた敬子さん

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。今回の舞台は敬子が生まれた81年前に遡る。【連載の第2回。第1回から読む】 

  * * * 

「相場師の孫」として生まれる 

  田中敬子は日米開戦半年前の194166日、田中勝五郎、鶴子夫妻の長女として横浜市保土ヶ谷に生まれた。 

  実家は一帯に広大な田畑を有し、何所帯もの小作農に貸し与える言わば豪農だった。一家の大黒柱は祖母の志がで、嫁の鶴子は無論、家長である勝五郎も、志がには頭が上がらなかった。 

  才気煥発、男勝りな志がは、敬子の脳裏にも強い印象を残している。 

 「私が人並みの所作が出来るのは、おばあちゃんのお陰。本当に厳しい人で、弟なんかよく引っ叩かれてました。誰も何も言えない、言ってみればゴッドマザー」 

  田中家は代々の農家ではない。富山県下新川郡生まれの志がは駆け落ちで横浜に流れ着いている。相手は田中金次郎という米の相場師である。 

  富山の下新川郡と言うと、1918年に日本各地で発生した「米騒動」発生の地として知られる。出奔の背景に騒動があったかどうかまでは判然としないが、米価高騰を端緒に、問屋や相場師の糾弾を目的とした一連の騒擾を見るに「無関係ではなかったのでは」と筆者は見る。 

  事実、それは出奔後の行動に現れている。横浜市内に所帯を構えた金次郎と志がは、相場で得た資金を元手にいくつかの事業を手掛けたのち、橘樹郡保土ヶ谷の土地を買った。現在の横浜市西区久保町である。今でこそビルやマンションの立ち並ぶる一帯だが、昭和初期は荒地も同然で、二束三文で土地を買い漁った金次郎は、何人もの使用人を雇って開墾に励み、田畑に作り変えた。米と野菜の収穫で財を成したのは、相場師としての知見が物を言ったのではあるまいか。

関連記事

トピックス

麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
「同棲していたのは小柄な彼女」大麻所持容疑の清水尋也容疑者“家賃15万円自宅アパート”緊迫のガサ当日「『ブーッ!』早朝、大きなクラクションが鳴った」《大家が証言》
NEWSポストセブン
当時の水原とのスタバでの交流について語ったボウヤー
「大谷翔平の名前で日本酒を売りたいんだ、どうかな」26億円を詐取した違法胴元・ボウヤーが明かす、当時の水原一平に迫っていた“大谷マネーへの触手”
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
《同居女性も容疑を認める》清水尋也容疑者(26)Hip-hopに支えられた「私生活」、関係者が語る“仕事と切り離したプライベートの顔”【大麻所持の疑いで逮捕】
NEWSポストセブン
麻薬取締法違反で逮捕された俳優の清水尋也容疑者(26)
【大麻のルールをプレゼンしていた】俳優・清水尋也容疑者が“3か月間の米ロス留学”で発表した“マリファナの法律”「本人はどこの国へ行ってもダメ」《麻薬取締法違反で逮捕》
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
賭博の胴元・ボウヤーが暴露本を出版していた
大谷翔平から26億円を掠めた違法胴元・ボウヤーが“暴露本”を出版していた!「日本でも売りたい」“大谷と水原一平の真実”の章に書かれた意外な内容
NEWSポストセブン
清武英利氏がノンフィクション作品『記者は天国に行けない 反骨のジャーナリズム戦記』(文藝春秋刊)を上梓した
《出世や歳に負けるな。逃げずに書き続けよう》ノンフィクション作家・清武英利氏が語った「最後の独裁者を書いた理由」「僕は“鉱夫”でありたい」
NEWSポストセブン
ロコ・ソラーレ(時事通信フォト)
《メンバーの夫が顔面骨折の交通事故も》試練乗り越えてロコ・ソラーレがミラノ五輪日本代表決定戦に挑む、わずかなオフに過ごした「充実の夫婦時間」
NEWSポストセブン
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン