『仁義なき戦い』シリーズの主演は菅原文太(写真は2001年)
だが、観客は綺麗事のフィクションに飽き飽きしていた。大河ドラマのファンも同じではないか。『仁義なき戦い』はヤクザの醜悪さ、いってみれば人間の正体をリアルに描写した。広島弁のシェイクスピア劇とも評され、邦画の人気投票で常に上位にランクインする名作だ。『鎌倉殿の13人』もまた、これまで放映されてきた大河ドラマとは違い、立身出世の英雄伝の枠に納まらない。裏切りと絶望と死のドラマは『ハムレット』や『オセロー』、『リア王』や『マクベス』といったシェイクスピア悲劇を彷彿とさせる。