芸能

『鎌倉殿の13人』「殺し屋・善児を代表作にしてください」梶原善が戸惑った三谷幸喜からのメール【『鎌倉殿』出演者リレーインタビュー】

三谷幸喜氏に“代表作にしてください”と言われ「当初は戸惑いましたよ(笑)」と話す梶原善

三谷幸喜氏に“代表作にしてください”と言われ「当初は戸惑いましたよ(笑)」と話す梶原善(C)NHK

 12月18日に最終回を迎えるNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』で梶原善さん(56)が演じた「善児」は、架空のキャラクターながら強烈なインパクトを与えた一人だ。脚本の三谷幸喜氏に「オンエア前から、梶原善が演じる殺し屋は絶対に面白いキャラクターになる自信があった。でも蓋を開けてみると、予想以上に評判になってしまった」(NHK大河ドラマ・ガイド 鎌倉殿の13人 完結編/NHK出版)と言わしめるほどの刺客・善児。 役名からして梶原善さんを念頭に造形されたキャラクターとも見られているが、演じたご本人はどのように感じていたのだろうか。

「オファーを頂いた後に三谷さんから“代表作にしてください”みたいなメールをもらったんですよ。ただその時はまだ、第5回くらいまでの台本しか手元になくて。第1回で、源頼朝(大泉洋)と八重(新垣結衣)の子供である幼い千鶴丸様を殺める。というのを読んでいただけだったので、これをどう代表作にすればいいのかと、当初は戸惑いましたよ(笑)。

 とにかく人がたくさん死ぬドラマです。なかには誰が殺めたのか、歴史上はわかっていない人も多い。その部分を埋めるために、三谷さんは善児という架空のキャラクターを作り上げて、登場させたということなんですね」

 架空のキャラクターだからこそ、演じる側の解釈によってキャラクターはいかようにも姿を変える。はじめは伊東祐親(浅野和之)、そして頼朝亡き後は北条義時(小栗旬)に命じられるまま、あたかも無感情に人を殺め続ける善児は視聴者の「怖いもの見たさ」を駆り立てることになる。番組オープニングの出演者テロップに梶原善の名前があると、ツイッターなどのSNSが盛り上がった。

「僕はあんまりネットで自分自身の批評とか、番組の評判などを見ないので、全然知らなかったんですけど、それも三谷さんに教えてもらいました。『ツイッターで騒がれていますよ』とかね」

 SNSでは本気で戦えば善児が一番強いのではないか──と「善児最強説」などのキーワードが踊った。

「善児はお侍じゃないから、殺陣も武士のようにはやりませんでした。三谷さんからは“殺気立って人を殺すような感じにはしないでほしい”というアドバイスがありました。だから演じる僕としては、殺しを雑務のひとつというか、殺してしまう彼、彼女らに対して全く何の感情もなく、ただモノとして片付けていくっていう力の抜き方で処理する。

 善児にとってその仕事は何の策略もないし、目標もないし、ただ言われたから片付けているだけという意識で演じました。だから短刀を抜いたときにキリッと型を作る、といったことはやらないようにしました。どう表現すればいいのかな……物をバサっと捨てるような、見えないところに片付けちゃうような力の抜き方ですね。

 そうした設定は、回を重ねる毎にだんだんと気づいてきた。善児の場合は、あまり型にはまった構えはないほうがいい。台所にある包丁をぶら下げているようなところから、すっと突き出すほうが善児らしいだろうと、変に構えるとお侍さんみたいになってしまう。そう、だんだんと気づいてきて、少しずつ修正していきました」

関連キーワード

関連記事

トピックス

今季から選手活動を休止することを発表したカーリング女子の本橋麻里(Xより)
《日本が変わってきてますね》ロコ・ソラーレ本橋麻里氏がSNSで参院選投票を促す理由 講演する機会が増えて…支持政党を「推し」と呼ぶ若者にも見解
NEWSポストセブン
白石隆浩死刑囚
《女性を家に連れ込むのが得意》座間9人殺害・白石死刑囚が明かしていた「金を奪って強引な性行為をしてから殺害」のスリル…あまりにも身勝手な主張【死刑執行】
NEWSポストセブン
失言後に記者会見を開いた自民党の鶴保庸介氏(時事通信フォト)
「運のいいことに…」「卒業証書チラ見せ」…失言や騒動で謝罪した政治家たちの実例に学ぶ“やっちゃいけない謝り方”
NEWSポストセブン
球種構成に明らかな変化が(時事通信フォト)
大谷翔平の前半戦の投球「直球が6割超」で見えた“最強の進化”、しかしメジャーでは“フォーシームが決め球”の選手はおらず、組み立てを試行錯誤している段階か
週刊ポスト
参議院選挙に向けてある動きが起こっている(時事通信フォト)
《“参政党ブーム”で割れる歌舞伎町》「俺は彼らに賭けますよ」(ホスト)vs.「トー横の希望と参政党は真逆の存在」(トー横キッズ)取材で見えた若者のリアルな政治意識とは
NEWSポストセブン
ベビーシッターに加えてチャイルドマインダーの資格も取得(横澤夏子公式インスタグラムより)
芸人・横澤夏子の「婚活」で学んだ“ママの人間関係構築術”「スーパー&パークを話のタネに」「LINE IDは減るもんじゃない」
NEWSポストセブン
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン