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前田忠明さんが逝去5か月前に語っていた“勝新太郎伝説”と“ワイドショーの劣化” 芸能人から「分厚い封筒」差し出されたことも

芸能レポーター・前田忠明氏が経験した修羅場を振り返る

亡くなった芸能レポーター・前田忠明さん

 芸能リポーターの前田忠明さんが9月28 日に死去していたことがわかった(享年81)。死因はくも膜下出血で、都内自宅で転倒して頭を強打したことが原因と報じられた。故・梨元勝さん(享年65)や東海林のりこさん(88)とともに、昭和芸能界の生き字引としてメディアで親しまれた前田さんは、亡くなる5か月前、週刊ポスト(2022年4月29日号)で東海林さんと対談し、自らの半生を振り返りながら「芸能リポーターの意義」について熱い想いを述べていた。

「昔は今じゃ考えられないことがたくさんあったね。タレントにインタビューして優しい言葉でもかけると、帰りに本人が『前田さん、お車代持っていってよ』と分厚い封筒を渡してくるんだよ。30万とか50万くらい包んでたんじゃない? 『それは受け取れません』って断わったよ。もう時効だから言うけど、美空ひばりさんやフランク永井さん、島倉千代子さんとか昔気質の歌手だ」(東海林さんとの対談より。以下同)

 そんな逸話を明かした前田さん。1980年代にフジテレビと専属契約を結び、ワイドショーのレポーターとして昭和の芸能界を最前線で取材し続けた前田さんは、スターたちの数々の伝説を目撃してきた。

「勝新太郎さんが『パンツにコカイン』で捕まった時、ハワイまで裁判を見に行って、法廷から出てくるところを直撃したよ。左に梨元勝、右に俺がいたの。そしたら、2人の腕を抱えて『おう。揃ったな。飲みに行くか』って。今、裁判を終えたところだよ(笑)。この人は何を考えているのかと思ったけど、サービス精神旺盛だったね。勝新さんが何か騒動を起こすたびに、妻の中村玉緒さんから自宅に電話が来たよ。『番組でどんなこと言うつもりでっか? あれでもウチの旦那ですから頼みますわ』って」
 
 当時の芸能リポーターはタレント本人との距離も近く、“取り込まれる”リスクもあったと明かす。

「男女の問題だったら、どっちかを贔屓しちゃいけない。5年くらい付き合っていた梅宮アンナと羽賀研二が別れる時、アンナに独占インタビューしたの。何度も破局の噂があったから『本当ですか?』と聞いたら、『別れます。嘘は言いません』って。数年後、羽賀が別の人と結婚した時、『ハワイで挙式するので前田さん来てください』と頼まれちゃってさ。取材だから行ったよ。

 そしたら、アンナの関係者に『どっちの味方なのよ!』って怒られた(笑)。こんなこともあったなあ。長渕剛がテレビドラマに主演している時、共演女優の清水美砂との朝帰りを週刊誌に撮られて、各局がインタビューの申し込みをした。そしたら、なぜか長渕が『前田忠明ならいい』と指名してきて。たしかほとんどの局でそのVTRを放送したけどね」

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