加齢や過労、ストレスなどで発生する活性酸素が体内で増えると免疫力が低下し、がんなどの疾患につながっていく。前出の満尾氏は「亜鉛」と「ビタミンD」を積極的に摂ることを勧める。
「加齢とともに体内から減少していく亜鉛には、体の酸化を抑制して免疫機能を維持する重要な働きがあります。亜鉛含有量の多いカキやチーズ、卵、ごまや海苔を食べるのが望ましい。そして、近年、がんを防ぐ栄養素としてビタミンDが注目されています。ビタミンDの血中濃度が低いと大腸がんのリスクが高まることや、うつ病の予防効果があることが報告されています。サケの切身に豊富に含まれます」
そうした栄養素の役割を理解したうえで、食事の仕方も重要となる。前出の満尾氏が言う。
「70歳を過ぎたら、食事は腹七分目で加工食品を避け、糖質の摂りすぎに注意しましょう。また、タンパク質は摂りすぎると脳卒中や心筋梗塞の原因になるので、肉は適量が望ましい」
暴飲暴食は絶対に避けるべきだが、好物を我慢しすぎて心身を弱らせることも望ましくない。
「ステーキや焼肉は動脈硬化の原因になりますが、食べる元気があるのなら我慢しすぎなくてもいいでしょう。たまには、ロースやタンといった高タンパク低脂質の肉を中心に楽しんでもいいと思います」(前出・望月氏)
日本人の健康寿命は男女ともに70代にとどまるが、80歳の壁を越えて健康であるには、食事が大きなカギとなる。
※週刊ポスト2023年1月1・6日号