記者会見する岸田文雄首相。2021年10月4日、新政権発足時(時事通信フォト)

記者会見する岸田文雄首相。2021年10月4日、新政権発足時(時事通信フォト)

 政権発足時に自らアピールした「聞く力」は、思いがけないところで突然発揮された。10月には旧統一教会の問題を巡り、宗教法人への解散命令の要件に関する答弁を一夜で修正。議員たちや官僚たちは、メディアはもちろんのこと国民みんなを驚かせた。今国会では成立は難しいと思われていた旧統一教会の問題を受けた法人等による寄付の不当な勧誘の防止等に関する法律(被害者救済法)の早期設立を目指すと述べ、審議入りからわずか5日で救済法を成立させ、それなりに評価もされたが、支持率は上がらなかった。

 首相の決断力が問われたこともあった。旧統一教会との関係で任命した閣僚らが煮え切らない発言や失言を繰り返しても、なかなか決断せず、首相自らも煮え切らない発言をしてみせた。相手がきっちりと説明責任を果たすのを待つという姿勢を鮮明にしていたのに、自分は時々、その説明責任とやらをどこかに忘れてしまうらしい。

 10月には30年間岸田首相に仕えたベテラン秘書を辞任させ、公設秘書を務めていた長男の翔太郎氏を政府担当の首相秘書官に就任させ、批判を浴びた。そうかと思えば防衛費を大幅増額させるために増税を行い、その中には東日本大震災の「復興特別取得税」を一部転用することも検討していると伝えられた。防衛の中身を説明するより財源の話が先行したことで、自民党内からも批判が集中。高市早苗・経済安全保障担当相には「賃上げマインドを冷やす発言を、このタイミングで発信された総理の真意が理解できません」とTwitterで批判され、西村康稔経産相にも「このタイミングでの増税は慎重になるべきだ」と言われる始末だ。

 それでも岸田首相の会見は変わらない。それが良いか悪いかではなく、あまりに変わらないことが逆に印象的だったのだ。まるで同じ情報に触れることで、それが真実だと感じられる「真実性の錯覚」みたいに、変わらないことが岸田首相の存在感を増している。聞く力や決断力などより、この変わらなさが岸田首相の一番の持ち味かもしれない。

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