番付崩壊の影響をもろに受けた相撲協会の公式カレンダー
ずいぶん前に引退した横綱が載っていることも
カレンダーの制作時期と使用時期のズレがあることで、奇妙な状況が生まれて相撲ファンの間で話題になったという意味では、2018年も同様だった。前年の2017年1月場所後に稀勢の里(現・二所ノ関親方)が横綱に昇進。白鵬(現・宮城野親方)、日馬富士、鶴竜(現・鶴竜親方)の3横綱に稀勢の里が加わったことで、貴乃花、曙、若乃花、武蔵丸の4横綱以来17年ぶりとなる豪華な番付となった。
2018年当時のカレンダーは2か月で1枚のつくりだったが、1月、2月は4横綱が着物姿でそろい踏み。3月、4月は鶴竜の雲竜型土俵入り姿。5月、6月は日馬富士の不知火型土俵入り。7月、8月は当時の大関の高安と豪栄道(現・武隈親方)が化粧まわしで登場している。9月、10月は稀勢の里の雲竜型土俵入り、11月、12月は白鵬の不知火型土俵入りという贅沢なつくりが実現していたが、実際にカレンダーが使われ始めた2018年1月の時点では日馬富士が引退して3横綱になってしまっていた。相撲担当記者が言う。
「4横綱時代は長くは続かなかった。稀勢の里は横綱に昇進した直後の3月場所で日馬富士に土俵下へ突き落されて左肩を負傷。翌場所から休場が続いた。鶴竜も2017年は年6場所のうち5場所が全休か途中休場。なかなかそろい踏みがないなかで発覚したのが、日馬富士による貴ノ岩への暴行問題だった。秋巡業中に暴行を働いていたことが発覚した日馬富士は2017年11月場所3日目から休場し、場所後に引退に追い込まれた。ただ、翌年のカレンダーは9月場所の時点で制作されているので、もちろん日馬富士が載っているという状況になったのです。その後、稀勢の里は2019年1月場所で引退したが、2019年のカレンダーには登場するなど、ちぐはぐな状況がどうしても生まれてしまうのです」
ちぐはぐな状況をむしろ楽しむために、カレンダーがあるのかもしれない。