スポーツ

蛯名正義氏が振り返る、17回目の挑戦で初めて勝った「金杯」の思い出

年初の勝利は縁起がいい。1月5日はどうなるのか。蛯名氏が振り返った(写真は今年1月2日)

競馬人にとっても一年の計は大切。その年最初の競馬の日に勝った1992年を、蛯名氏が振り返った(写真は今年1月2日。中央が蛯名氏)

 1987年の騎手デビューから34年間にわたり国内外で活躍した名手・蛯名正義氏が、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。蛯名氏の週刊ポスト連載『エビショー厩舎』から、競馬人にとっての一年の計についてお届けする。

 * * *
 その年最初の中央競馬が開催されるのはほとんどが1月5日。ジョッキー時代、この日に勝てば「今年は今までとは違うぞ!」という気分になりました。いいスタートを切りたいのは誰もが考えること。初日に勝てば一瞬でもリーディングジョッキーであり、調教師はリーディングトレーナー、馬主さんはリーディングオーナーです。僕は特にノリやすいタイプだったのか(笑)、初日に勝つと1年通して好調だったような気がします。

 1年最初の競馬の日に初めて勝ったのは1992年、ブロードマインドで準オープンの特別競走でした。自厩舎の馬だったし、7番人気だったので、やったぞ!と。その勢いかどうか、2月には初めて重賞を勝ったし、最終的に前年の倍以上、54勝をあげることができました。

 1996年は初日の1レースと10レースに勝って早々と2勝。秋には初めてのGIを勝つことができた。初めて年間100勝を突破(136勝)した1998年も初日に2勝しています。100勝以上した年の多くは、初日に勝っているのではないでしょうか。

 ところが、メインの重賞、金杯はなかなか勝つことができませんでした。初めて騎乗したのが自厩舎のダイナフランカーでまだ20歳の時、ブービー人気だったけれど8着に頑張ってくれた。ところがその後、ステージチャンプやホッカイルソーなど人気馬に騎乗させてもらいながら2着が3回もあるなど勝ち切れない。京都金杯を含め、ほぼ毎年のように乗せてもらっていたので、もどかしい思いがありました。1年の最初の日のメインレースで「金」がついていてめでたい感じがあるのに、いつも脇役でしかないというのは面白くない(笑)。ずっと勝ちたいと願っていたレースでした。

 そもそもつい1週間ほど前は100勝以上していたのに、新年になったらゼロからのスタート。しょうがないこととはいえ、1年間頑張って積み上げてきたのに、年が替わってゼロになると、すごく不安な気持ちになってくる。さらに2週目3週目になっても勝てないと「今年はヤバいんじゃないか」って思ってしまうものです。早く2つ勝って「両目を開きたい」と願っていました。

関連キーワード

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン