初めて金杯を勝ったのは2012年のフェデラリスト。僕にとって実に金杯17回目の挑戦でした。この日は午前中に2勝して気分も盛り上がっていましたし、ダンスパートナーの子で前走の準オープンがいい勝ち方だったし、引き続き調子もよさそうだったので勝てると思っていました。前年は100勝に届かなかったのですが、この年は123勝をあげることもできました。ちなみに管理されていた田中剛先生も、この年初の平地GIを勝たれています。
厩舎開業後最初の正月になるけれど、この実感はジョッキー時代と同じです。もちろん初日に勝つためだけに調整しているわけではないし、ジョッキーの騎乗数にくらべれば出走させられる頭数はずっと少ないし、管理馬の数もまだ少ないから難しい。それでも早い時期に2つ勝って「両目が開け」ば、やっと前を向けるでしょうか。あまり験をかつぐ方ではないけれど、「今年はいいぞ」と思えるような気がします。
【プロフィール】
蛯名正義(えびな・まさよし)/1987年の騎手デビューから34年間でJRA重賞はGI26勝を含む129勝、通算2541勝。エルコンドルパサーとナカヤマフェスタでフランス凱旋門賞2着など海外でも活躍、2010年にはアパパネで牝馬三冠も達成した。2021年2月で騎手を引退、2022年3月に52歳の新人調教師として再スタートした。
※週刊ポスト2023年1月13・20日号