葛根湯なら何を選んでもいい
肝心ののみ方は1日7.5gを2〜3回に分割して、食前または食間に経口投与すること。
「胃に何も入ってない方が吸収しやすく、のむ際にはぬるま湯がおすすめ。冷たい水だとお腹を冷やしてしまい、熱いと胃がびっくりしてしまいます」
体調不良を感じたら空腹を待たずにのんでかまわない。
「とにかく初手が大事。おすすめののみ方は体調が悪くなったらすぐにのみ、2時間後くらいにもう1回のむことです。ウイルスを追い払うために、とにかく早く免疫力を活性化させてほしい。翌日以降は1日3回、のんでください」
葛根湯は複数のメーカーから発売されているが、7種類の生薬の配合のバランスがメーカーごとに少しずつ違っているだけで、大差はないという。
「市販薬はどのメーカーのものを選んでもかまいません。ちなみに処方薬と市販薬の違いは副作用のリスクを低くするため、市販薬の方が効果が弱いこと。ただ、有効成分は同じなので、受診に時間がかかる場合は、市販薬を購入すれば問題ありません」
錠剤や顆粒、液体タイプなどの違いもある。何を選んだらいいのか。
「のみやすさで選んでかまいません。ただし、ウイルスが流行する時期だからと予防的にのむのはNG。あくまで症状を感じてからすぐにのむことを意識してください」
独特の苦みがあるが、口の中を湿らせてからのむとそれも抑えられる。
総合感冒薬や解熱鎮痛剤はNG
薬はどんなものにも副作用はある。
「食欲不振や胃の不快感、ひどい発汗などが副作用として指摘されています。肝機能障害のような症状も報告されています」
心臓や腎臓など循環器系に基礎疾患がある人は要注意。麻黄の成分が作用して心臓や血管に負担をかけるため、血圧が一気に高くなって思わぬ弊害が出ることもあるという。
かぜをひくと総合感冒薬ものみたくなるが、併用には注意が必要だ。
「市販の総合感冒薬などには、エフェドリン塩酸塩やグリチルリチン酸を含むものが多くあります。それらは葛根湯に含まれる成分と重複するため、効果が強く出る可能性があります」
エフェドリン塩酸塩は花粉症の薬にも配合されている。日頃から花粉症の薬を使っている人は成分を確認した上で服用したい。
また、前述の通り葛根湯は体温を上げて発汗を促すため、熱を下げようとする解熱鎮痛剤を服用すると、効果が逆に働く。
「葛根湯をのみ、どうしても頭痛や熱で解熱鎮痛剤ものみたくなった場合は、4〜6時間空けて服用してください」
体調が悪いと薬をのむ間隔を短くしたり、いろいろな薬をのみたくなるが、副作用のリスクが高まるのでやめるべきだ。
「落語に、頭痛にも腹痛にもなんでも葛根湯を出す『葛根湯医者』という噺がありますが、あながちそれも間違いではないと思うほど、葛根湯にはいろいろな効能があります。ウイルスが流行するいまこそ、すぐにのめるように常備しておくと安心です」
400年前の江戸時代から、日本人は葛根湯に頼ってきた。「葛根湯は最強」で間違いなさそうだ。
※女性セブン2023年1月19・26日号