ライフ

《火葬場の過酷な裏側》火葬技師が提案する副葬品を選ぶ際に頭に入れておくべきこと【後編】

火葬場について詳しい下駄氏

火葬場について詳しい下駄氏

 火葬場と聞くと、怖いし気味が悪いしで遠ざけたいような、詳しく知りたいような複雑な気持ちがするもの。『火葬場奇談 1万人の遺体を見送った男が語る焼き場の裏側』(竹書房)は、一級火葬技師として、実際に火葬場で遺体を焼く仕事をしていた下駄華緒氏が、火葬場の過酷な裏側を明かしたホラーエッセイ。怖いもの見たさで恐る恐る手に取ったものの、読み進めるうちに、著者が遺族や遺体に、真摯に向き合っていた姿勢がひしひしと伝わり、背筋が伸びる一冊だ。【前後編の後編。前編から読む

 * * *
 家族を亡くした遺族が、故人を思って棺に入れる副葬品。結婚指輪やネックレスなどの貴金属を入れることも少なくない。自治体によっては、火葬後、これらの貴金属を業者が回収し、収益を得ているところもあるというからビックリだ。

「貴金属は焼くと、溶けてベチャッと台に張り付いていることが多いのですが、その収益は自治体の『その他雑収益』に計上されていたり、火葬場の改修費用に充てられたりしています。こうしたことは秘密裏に行われているわけではありませんよ。公表している自治体もあります」

 下駄氏はこうした事実を積極的に広く知らせた方が良い、とする考えだ。

「役目を終えたものを、新しくもう一度、活かすという考えは素敵だと思うのです。それにこうした事実を知れば、ご遺族は副葬品として棺に入れ別の方に新しく活かしてもらうか、『私が持っておこう』と考えるか、選択肢が広がります。どうするか判断する材料として、むしろ知っていただきたいと思います」

 遺体の火葬を無事に終えた後は、遺族によるお骨あげがある。その段階では、またさまざまな出来事に遭遇する。

「遺族間に確執があり『どちらが大切な喉仏の納まっている骨壺を連れて帰るか』で揉め、骨折するほどの掴み合いになるのを見たことがありました。かと思えば、暴力団員のお骨上げでは、抗争の後なのか、松葉杖の方、車いすの方、包帯を巻いている方などけが人が多数。

 子分が小さな骨を骨壺に納めようとすると、親分が松葉杖でバチーンと子分の顔面を殴りつけ、『そんな小さいしょうもない骨を入れるな! でっかいの入れろ!』と命じていたこともありました。小さい骨がしょうもないわけでもないのですが……」

 暴力団排除条例が制定・施行されたとはいっても、亡くなったら火葬しないわけにはいかない。組員が火葬場にズラリ、ということも起こりうるわけだ。

「でも、恐いというより、彼らは非常に礼儀正しかったりします。親分がいるから、変なことはできないのでしょう。キビキビとして、非常にスムーズなお骨あげになることがほとんどですよ」

関連記事

トピックス

結婚へと大きく前進していることが明らかになった堂本光一
《堂本光一と結婚秒読み》女優・佐藤めぐみが芸能界「完全引退」は二宮和也のケースと酷似…ファンが察知していた“予兆”
NEWSポストセブン
売春防止法違反(管理売春)の疑いで逮捕された池袋のガールズバーに勤める田野和彩容疑者(21)
《GPS持たせ3か月で400人と売春強要》「店ナンバーワンのモテ店員だった」美人マネージャー・田野和彩容疑者と鬼畜店長・鈴木麻央耶容疑者の正体
NEWSポストセブン
日本サッカー協会の影山雅永元技術委員長が飛行機でわいせつな画像を見ていたとして現地で拘束された(共同通信)
「脚を広げた女性の画像など1621枚」機内で児童ポルノ閲覧で有罪判決…日本サッカー協会・影山雅永元技術委員長に現地で「日本人はやっぱロリコンか」の声
NEWSポストセブン
三笠宮家を継ぐことが決まった彬子さま(写真/共同通信社)
三笠宮家の新当主、彬子さまがエッセイで匂わせた母・信子さまとの“距離感” 公の場では顔も合わさず、言葉を交わす場面も目撃されていない母娘関係
週刊ポスト
タンザニアで女子学生が誘拐され焼死体となって見つかった事件が発生した(時事通信フォト)
「身代金目的で女子大生の拷問動画を父親に送りつけて殺害…」タンザニアで“金銭目的”“女性を狙った暴力事件”が頻発《アフリカ諸国の社会問題とは》
NEWSポストセブン
阿部慎之助監督(左)が前田健太(時事通信フォト)の獲得に動いているとも
《阿部巨人の「大補強構想」》前田健太、柳裕也、則本昂大、辰己涼介、近本光司らの名前が浮上も、球団OBは「今はそんなブランド力はない」と嘆き節
週刊ポスト
松田烈被告
「テレビ通話をつなげて…」性的暴行を“実行役”に指示した松田烈被告(27)、元交際相手への卑劣すぎる一連の犯行内容「下水の点検を装って侵入」【初公判】
NEWSポストセブン
鮮やかなロイヤルブルーのワンピースで登場された佳子さま(写真/共同通信社)
佳子さま、国スポ閉会式での「クッキリ服」 皇室のドレスコードでは、どう位置づけられるのか? 皇室解説者は「ご自身がお考えになって選ばれたと思います」と分析
週刊ポスト
Aさんの左手に彫られたタトゥー。
《10歳女児の身体中に刺青が…》「14歳の女子中学生に彫られた」ある児童養護施設で起きた“子供同士のトラブル” 職員は気づかず2ヶ月放置か
NEWSポストセブン
知床半島でヒグマが大量出没(時事通信フォト)
《現地ルポ》知床半島でヒグマを駆除するレンジャーたちが見た「壮絶現場」 市街地各所に大量出没、1年に185頭を処分…「人間の世界がクマに制圧されかけている」
週刊ポスト
お騒がせインフルエンサーのボニー・ブルー(インスタグラムより)
「バスの車体が不自然に揺れ続ける」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサー(26)が乱倫バスツアーにかけた巨額の費用「価値は十分あった」
NEWSポストセブン
韓国の人気女性ライバー(24)が50代男性のファンから殺害される事件が起きた(Instagramより)
「車に強引に引きずり込んで…」「遺体には多数のアザと首を絞められた痕」韓国・人気女性ライバー(24)殺害、50代男性“VIPファン”による配信30分後の凶行
NEWSポストセブン