屋台でたこ焼きが売れなくなった(イメージ、SPUTNIK/時事通信フォト)

屋台でたこ焼きが売れなくなった(イメージ、SPUTNIK/時事通信フォト)

屋台でたこ焼きが売れなくなった理由

 焼きそばが見た目で売れるなら、たこ焼きはどうなのか。幹部は「あれはみんなが思うほど売れない」と首を振る。全国的に有名なたこ焼きチェーン店「築地銀だこ」などの成功が、その大きな要因なのだという。

「銀だこのようなチェーン店のおかげで、テキヤのたこ焼きは商売あがったりだね。お祭りで売っていたものが、普通のテナントでできる商売になった。縁日の屋台まで行かなくても、客は食べたいと思えば、いつでもどこでも焼きたてのたこ焼きが食べられる」

  全国のショッピングモールや商店街を中心に300店舗以上を展開する「築地銀だこ」のたこ焼きや売り方を画期的と評する幹部は「昔からたい焼きや大判焼きの店はあったが、全国展開するような規模のたこ焼き屋はなかった」と話す。「たこ焼き以外にも”屋台メニュー”をテナントにする店が浅草などにはいくつもできたが、ブームになるほどの店まだない」という。

 別の暴力団関係者は、他に面白いと思った屋台に「箱詰め商品のばら売り」と答えた。「今はやらないが、組にお歳暮が山のように届くと、それをテキヤみたいなやつらが持って行った。彼らはそれをバラにして売る。高級ハムやカニの缶詰、ホテルのレトルト食品とかだ。並べられた品はまるでデパートの売り場のようで、高級品はバラにして個別に、安い物もまとめて売っていた。売れないような物でもテキヤみたいなやつらはうまくセットにして売るんだな。どんな物でも売るのが商売だからな」。最近の縁日では、ばら売りをする露店はほとんどみない。

 見なくなった露店には射的があるが、「昔は的の賞品に原価がかかるが、それ以外はタダみたいなものだった」と暴力団関係者は話す。コルクの弾を数個500円程度で買っておもちゃの銃で撃ち、的を狙う娯楽は、「コルク弾は使い回し。バランスが悪かったり、半分崩れたようなものが混じっていて、狙ってもまっすぐ飛ばない。だから当てるのが難しくてね」というが、そんな弾を出すような射的の屋台はもうないという。

 くじ引きの屋台も少なくなった。「自分らがやっていたのは、大きな箱の真ん中に丸い穴があり、中に入っているくじを引くもので、タネがあった」と関係者はいう。彼はその頃にやっていた箱くじやそれ以外のくじ引きについても、当たるためのタネ明かしをしてくれた。だがここでそれを明かしてしまうと、もしもまだその手を使っている屋台がどこかにあれば困ると彼は苦笑いをした。

「子供の喜びを壊してしまうんでね」

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