実は14日放送の『新しいカギ』は、「学校かくれんぼ」だけでなく「バスケ対決」を含む「学生と真剣勝負2時間SP」。「学生をフィーチャーしよう」という狙いは明らかですが、これは若年層の視聴率を獲得するためだけではなく、「コロナ禍を生きる学生たちを笑顔にしたい」という思いによるところもあるようです。
文化祭、体育祭、修学旅行などの大型イベントが縮小・中止になるケースが続き、寂しい思いをしてきた学生とその家族を笑顔にさせたい。そんな思いはフジテレビだけではなく、TBSも昨年11月11日に“全国の学校に笑いを届ける令和の学生応援バラエティ”と掲げたゴールデン特番『学校中を笑わせよう!』を放送しました。
その2日前の11月9日には日本テレビも高校生をフィーチャーした『超無敵クラス』のゴールデン特番を放送。最近でも1月11日にNHKの『ロコだけが知っている』が「学校を徹底リサーチ!青春ってすばらしいSP」を放送するなど、コロナ禍を生きる学生を応援するような番組が目立ちます。
テレビマンの中にも学生の子どもを持つ人が多いだけに、ただ視聴率を狙うだけでなく、純粋に「彼らを応援したい」「笑顔にさせたい」という気持ちがあるのでしょう。
シンプルな企画だがハードルは高い
かくれんぼは、もともとお金をかけず誰でも楽しめる遊びですが、バラエティにする以上、「やる人」だけでなく「見る人」も楽しめるスケールの大きさが求められます。
その点「学校かくれんぼ」は、校内の至るところにカメラを仕掛け、それらを集約して見られるモニタールームを設置し、隠れるための装置や変装を作るなど、かなりの予算と労力が必要。さらに、プライバシーの問題や、生徒本人と家族からの反対意見なども含め、制作のハードルは決して低くありません。
しかし、フジテレビとしては、TBSが『逃走中』を彷彿させる『THE 鬼タイジ』という番組を放送するなどアトラクション型バラエティがジワジワと増える中、ブランディングという意味でも力を入れていきたいところです。
『逃走中』が「身体能力の高いハンターから逃げ切れるか、つかまってしまうか」のハラハラドキドキで楽しませるように、「学校かくれんぼ」は「学校を知り尽くす生徒たちから逃げ切れるか、見つかってしまうか」でハラハラドキドキさせられるか。今後の定番化を占うという意味で2回目の放送は注目を集めそうです。
【木村隆志】
コラムニスト、芸能・テレビ・ドラマ解説者。雑誌やウェブに月30本前後のコラムを提供するほか、『週刊フジテレビ批評』などの批評番組に出演し、番組への情報提供も行っている。タレント専門インタビュアーや人間関係コンサルタントとしても活動。著書に『トップ・インタビュアーの「聴き技」84』『話しかけなくていい!会話術』『独身40男の歩き方』など。