国内

なぜ政治家は与党・自民党を目指すのか 元立憲のアイドル・今井るるさんの騒動から考える

2022参院選で、今井瑠々さんは立憲民主党の候補者を応援するために東京へと駆けつけている(撮影:小川裕夫)

2022参院選で、今井瑠々さんは立憲民主党の候補者を応援するために東京へと駆けつけている(撮影:小川裕夫)

 ふだんならさほど話題にならない岐阜県議会議員選挙が話題だ。2021年衆院選で岐阜5区に立憲民主党から出馬した今井瑠々(るる)さんが、離党して自民党の推薦で統一地方選挙のひとつとして行われる岐阜県議選へ出馬するからだ。訴えていた政策に整合性はとれるのか、支援者は納得しているのかなどの疑問が浮かぶが、政治家というのは職業となったとたん、どんな理想を掲げていようとも、党派と闘争、選挙を上手く乗りこなすための矛盾は当たり前。選挙の取材を続けてきたライターの小川裕夫氏が、野党から与党への移籍事情についてレポートする。

 * * *
 2021年10月31日に実施された衆議院議員選挙から約1年。岐阜5区から立憲民主党の公認候補として出馬した今井瑠々さんが離党して、自民党の推薦を得て2023年春に実施される岐阜県議会議員選挙に挑戦することが明らかになった。

 当時、最年少25歳で衆院選に挑戦したことで話題を集めた今井さんは、自民党の古屋圭司候補に惜敗した。当選した古屋議員の8万2140票、得票率48.5%に対し、次点の今井さんが6万8615票、40.5%だった。古屋候補は第二次安倍内閣で国家公安委員長を務めた大物議員。また、2017年の衆院選では次点との差を得票率で20%もつけて当選していたことを思えば、25歳の新人が大物議員に肉薄したことは大健闘といっていいだろう。

 また今井さんは、次は当選できそうということ以上に、立憲民主党にとって意味がある候補者だった。2022年参院選で、同党の泉健太代表は立候補者数を男女同数に揃えることに腐心していたし、守旧的な自民党政治を打破するために若くてエネルギッシュな候補者を必要としていた。だから落選したとはいえ、2つの条件に合致する今井さんは立憲民主党にとって次世代を担うホープと期待していたはずだ。

 さらに、2022年7月の参議院選で、東京選挙区から立憲民主党公認で出馬した松尾明弘候補の街頭演説を取材したとき、今井さんが党から期待されていたことが窺えた。

 このとき街頭演説の応援弁士には、同党の政調会長(当時)を務める小川淳也議員と菅直人元首相が立った。この2人が応援の主役であることは誰の目にも明らかだったが、今井さんも少しだけマイクを握った。まだ議員になっていない今井さんにマイクが渡されている。そうした光景からも今井さんへの期待を読み取れたし、司会進行役を務めていた五十嵐衣里都議と親しげに会話を交わす様子からも、周囲から慕われているのが実感できた。今から振り返ると、この頃までは立憲民主党で議員を目指す意思はあったのだろう。演説後、筆者は写真撮影を求め、それに快く応じるとともに今後への意気込みも聞いている。

 どこで心変わりしたのかは本人しかわからない。いずれにしても、立憲民主党に支えられている立場にありながら水面下で自民党と接触していたことは、支援者から「裏切り者」と難詰されても甘受するしかない。

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが信頼を寄せる大谷翔平の代理人・ネズ・バレロ氏(時事通信)
《“訴訟でモヤモヤ”の真美子さん》スゴ腕代理人・バレロ氏に寄せる“全幅の信頼”「スイートルームにも家族で同伴」【大谷翔平のハワイ別荘訴訟騒動】
NEWSポストセブン
国内統計史上最高気温となる41.8度を観測した群馬県伊勢崎市。写真は42度を示す伊勢崎駅前の温度計。8月5日(時事通信フォト)
《猛暑を喜ぶ人たちと嘆く人たち》「観測史上最高気温」の地では観光客増加への期待 ”お年寄りの原宿”では衣料品店が頭を抱える、立地により”格差”が出ているショッピングモールも
NEWSポストセブン
中居正広氏の騒動はどこに帰着するのか
《中居正広氏のトラブル事案はなぜ刑事事件にならないのか》示談内容に「刑事告訴しない」条項が盛り込まれている可能性も 示談破棄なら状況変化も
週刊ポスト
離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(右/Instagramより)
「ママがやってよ」が嫌いな言葉…加藤ローサ(40)、夫・松井大輔氏(44)に尽くし続けた背景に母が伝えていた“人生失敗の3大要素”
NEWSポストセブン
ヒグマの親子のイメージ(時事通信)
【観光客が熊に餌を…】羅臼岳クマ事故でべテランハンターが指摘する“過酷すぎる駆除活動”「日当8000円、労災もなし、人のためでも限界」
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《金メダリスト・北島康介に不倫報道》「店内でも暗黙のウワサに…」 “小芝風花似”ホステスと逢瀬を重ねた“銀座の高級老舗クラブ”の正体「超一流が集まるお堅い店」
NEWSポストセブン
二階堂ふみとメイプル超合金・カズレーザーが結婚
二階堂ふみ&カズレーザーは“推し婚”ではなく“押し婚”、山田美保子さんが分析 沖縄県出身女性芸能人との共通点も
女性セブン
山下美夢有(左)の弟・勝将は昨年の男子プロテストを通過
《山下美夢有が全英女子オープンで初優勝》弟・勝将は男子ゴルフ界のホープで “姉以上”の期待度 「身長162cmと小柄だが海外勢にもパワー負けしていない」の評価
週刊ポスト
夏レジャーを普通に楽しんでほしいのが地域住民の願い(イメージ)
《各地の海辺が”行為”のための出会いの場に》近隣住民「男性同士で雑木林を分け行って…」 「本当に困ってんの、こっちは」ドローンで盗撮しようとする悪趣味な人たちも出現
NEWSポストセブン
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《北島康介に不倫報道》元ガルネク・千紗、直近は「マスク姿で元気がなさそう…」スイミングスクールの保護者が目撃
NEWSポストセブン
娘たちとの関係に悩まれる紀子さま(2025年6月、東京・港区。撮影/JMPA)
《眞子さんは出席拒否の見込み》紀子さま、悠仁さま成年式を控えて深まる憂慮 寄り添い合う雅子さまと愛子さまの姿に“焦り”が募る状況、“30度”への違和感指摘する声も
女性セブン
違法薬物を所持したとして不動産投資会社「レーサム」の創業者で元会長の田中剛容疑者が逮捕された
「ローションに溶かして…」レーサム元会長が法廷で語った“薬物漬けパーティー”のきっかけ「ホテルに呼んだ女性に勧められた」【懲役2年、執行猶予4年】
NEWSポストセブン