「中国の公式発表には信憑性がありません。現実には中国の感染状況は相当にひどく、病院では充分な医療を受けられず、ドラッグストアの薬はどこも売り切れだそうです。知人の中国人の親族がコロナで亡くなりましたが、診察の順番を待って病院に2時間いるうちに20人が運び込まれて、うち2人がその場で亡くなったと聞きました」
冒頭で紹介したように、中国・北京の病院は患者があふれかえり、葬儀場で人々が行列をなす映像がSNSで拡散された。火葬場がパンクして、30〜40体の遺体が地面に放置されているとも報じられた。
感染の規模もすさまじく、中国疾病予防センターの担当者は、人口2000万人以上の首都・北京について、12月末の時点で「感染率は80%を超えた可能性がある」との見方を示した。また、中国全土に目を移しても、全人口14億人の半数近い6億人がすでに感染している可能性があるとも報じられた。
イギリスの医療関連調査会社は、今後ピーク時に中国で1日あたり最大2万5000人が死亡すると試算する。
不透明なのは、感染実態だけでない。世界が恐れるのは「中国発変異株」の出現だ。
「6億人が感染したとされる中国では新たな変異株が出現している可能性があります。しかし中国では民間のゲノム解析が禁じられているとされ、変異株の対策が不鮮明です。春節で日本国内に変異株が持ち込まれたら、大変な騒ぎになるでしょう」(一石さん・以下同)
オミクロン株から変異したウイルスは強毒化の恐れがある上、従来のワクチンが効かないかもしれない。この先、得体の知れないウイルスが日本に上陸する恐れがあるのだ。
「陰性」ばかりの検査キット
中国のコロナ対策への不信感が募るなか、中国人観光客を通じた感染拡大を恐れる各国は水際対策を強化した。日本政府も中国本土から直行便で来日する渡航者に対し、出国前72時間以内に受けた検査の陰性証明の提出や、入国時に抗原検査より精度の高いPCR検査などを課し、陽性の場合は7日間の隔離となる。
「それでも感染者の上陸をゼロにするのは難しい」
一石さんはそう指摘する。