「コロナ規制の緩和前も、ビジネス往来する中国人や、外国人は出入国が可能でした。昨年12月30日から1月5日までに中国本土から日本に入国した4895人のうち、408人が空港検査で陽性となりました。韓国では中国からの入国者に『入国前陰性確認書』の提出が義務付けられた初日の1月5日、ある旅客機の乗客278人のうち35人が陽性でした。
日韓の事例から見て、中国から来る入国者のうち8~12%程度がコロナに感染している可能性があります」
昨年末、中国からイタリア・ミラノに到着した航空2便に至っては、乗客の半数近くが陽性だった。
陰性確認書があってもすり抜けが起こるのはなぜか。ひとつの要因は、中国の医療用品にある。
「コロナ初期から中国産の検査キットや医療用マスクは欠陥品だと欧州各国が批判していました。実際に京都府警が中国から不正に輸入された中国製の検査キットを調べると、日本の承認品に比べて264分の1の精度しかなく、結果もほぼ陰性しか出ませんでした。日本や欧米諸国は入国時に72時間以内の陰性証明書の提出を求めていますが、中国で流通する精度の低い検査キットを用いた検査結果の信憑性は高くありません」
最後の砦となるのが日本の空港におけるPCR検査だが、こちらも盤石とは言い難い。
カギを握るのは「潜伏期間」だ。オミクロン株は2~3日程度の潜伏期間を経て発症するケースが多い。仮に中国で発行される72時間以内の陰性証明が科学的に正しいものだとしても、中国での検査後に現地で感染して潜伏期間に突入したら、日本の空港でのPCR検査では感知できず、コロナが“密輸”されてしまうのだ。
「中国と日本は渡航距離が短く、渡航中に潜伏していたウイルスが“陽転化”する可能性が低い。日本の空港でのPCR検査を潜伏してすり抜けた中国人観光客が入国後に陽性化し、観光地で感染が拡大する恐れがあります」
コロナ規制の撤廃を受けて中国では海外旅行への関心が高まり、旅行サイトによると、春節の連休は海外旅行の予約が前年比540%増となった。中でも日本は行きたい国トップ3に入る人気国で、大観光団の来日が予想される。
過去に日本では、家庭内感染から学校や職場などにウイルスが広まった。この先は、“中国版・家庭内感染”からの感染拡大が懸念される。
「潜伏期間で空港検疫をすり抜けた中国人観光客が滞在中に発症する場合、まずは旅行中に行動を共にする家族や団体に感染させて、そこから日本人に感染が波及する可能性があります。すでに日本は“世界一コロナに感染している国”なのに、今後さらに拍車がかかって厳しい状況に陥り、医療体制が逼迫することが心配されます」
中国当局は日本の水際対策強化に猛抗議して、日本人渡航者へのビザ発給を停止する対抗措置を講じた。
日本はこうした中国の強面に屈せず“コロナ密輸”の防御態勢を固める必要がある。
※女性セブン2023年2月2日号