合格祈願に訪れる人が多い湯島天神(時事通信フォト)

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私立中高一貫校に行くと、1000万円余分にかかる。その効果は?

──日本で子どもを育てる場合、大きく分けて、中学受験をするか高校受験をするか、この二択になると書かれています。まず、経済的にどのくらい差がありますか?

 中学受験をして私立中高一貫校に進学すると、公立中学から公立高校に進学するのと比べて、800~1000万円くらい余分にかかると思います。費用には塾代と私立の学費や受験料などが含まれていますが、けっこうな額ですよね。これだけの金額がかかるにもかかわらず、いろいろ調べてみると、実はどちらを選んでも、高3時点の学力にそれほど差はなさそうなんです。かなり効果を多めに見積もって、偏差値で数ポイント、期待値としては大学がワンランク上がるかどうかくらいですし、個人差がものすごく大きい。

 東大だけは突出して私立中高一貫校出身者が多いのですが、それでも半分ぐらいが、学費がほとんど無料の公立高校出身です。

──そのほか、中学受験と高校受験を分けるものには何があるでしょうか?

 中学受験の大きな特徴は、高校受験に比べて、良くも悪くも親の力がものをいうことです。小学生はまだ親の言うことを聞くので、親が子を方向づけやすい。裏を返せば、親がそれだけ大変だということです。僕の感覚では、中学受験は親が3割、子が7割。高校受験は親が1割で、子が9割ぐらいですかね。だから、経済的な余裕があって、子をサポートする時間的な余裕が親にあって、子にやる気や資質がありそうだ。この3つの条件がそろうと、中学受験に勝ちやすいと思います。

 高校受験は、良くも悪くも子が自分でがんばらないことにはどうにもなりません。思春期の子に親が何か言っても無駄ですから、たまたまの交友関係などで受験勉強にやる気が出る環境かどうかという運に大きく左右されます。

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