偏差値30からPh.D.取得までの「一点突破」の勉強法

──藤沢さんは、ある時から勉強が楽しくなったと振り返られています。成績は悪かったものの、家を出るために高3から受験勉強を始めたら楽しくなり、晴れて大学へ進学し念願の一人暮らし。その後、海外の大学院でPh.D.を取得して研究者になります。藤沢さん独自の勉強法や、勉強へのスイッチの入れ方は参考になります。

 僕も高校2年生ぐらいまで学校の勉強をサボっていて、中学レベルの数学も危うかったので、最初に受けた河合塾なんかの全国模試の偏差値は30台だったと記憶しているのですが、高2の終わりぐらいにスイッチが入ったあとは、最初が低いだけに、そこから偏差値が上がり続けるだけですから、自然と受験勉強に熱中できました。僕はゲームが好きだったので、対戦ゲームで戦略を必死に考えたり、厳しい訓練によってテクニックを磨いて、友達の間で一番上手くなっていたのですが、振り返ると同じような感じで受験勉強も上手くやれました。家庭環境から、切実に一人暮らしがしたかったということもあります。地元以外で学費を出してもらうには、やはりいい大学に受からないといけないな、と。

 大学に入った後は、また勉強しなくなったのですが、本に書いたように、いくつかのきっかけで物理の研究にハマったのは、同級生などと比べて、「この分野は自分はいける」という感覚が持てたからだと思います。これは他の人たちよりだいぶ得意だぞ、と。頑張れば海外の大学院に奨学金で行けそうだし、どちらかというと出世欲とか、将来のキャリアとかの観点でコスパがいいと思ってやる気を出しました。言ってみれば、一点突破型です。

 キャリアの実利をあまり考えず、学ぶこと自体を楽しめるようになってきたのは、証券会社で一財産作って、お金をはじめ、いろいろな面で余裕が出てきてからですかね。それまではキャリアのことしか考えていませんでした。

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