中学受験のための資質、早期教育の必要性について
──子どもに中学受験への資質があるかどうかは、どのように判断すればいいですか?
これが困ったことに、結局は、やらせてみなければわからないんですよ。僕は中学受験のための塾でアルバイトをしていたことがありますし、前述の身内の子を見ていても思ったのは、塾に入って本格的な勉強を始める前の出来はほとんど関係ないということです。
低学年でこうした勉強の準備を何もやっていなければ、当たり前ですが、低学年からやっている子と比べて、塾に入った時点での成績は遥かに下になります。何もやっていなければ、本人の資質がどうであれ偏差値30ぐらいから始まりますが、塾に入って半年もすると、不思議なことに、「自分のいるべき偏差値」に勝手に落ちついていくので、最初の偏差値はあまり関係ありません。前述の身内の子も偏差値30から60ぐらいまでスルスルと上がっていきました。その点からも、早期教育はあまり効果がないものだと感じました。
──中学受験をダービースタリオン(ゲーム)にたとえ、その攻略法を伝授しています。ただ、大事なのは「プロセス」だと。
卒業中学や卒業高校は履歴書に書ける学歴にはならないわけで、だからこそ、プロセスのほうが大事ですよね。子どもが勉強を面白いと思うようになってくれるのが一番だし、たとえ志望校に受からなくても、計算力や読解力、さまざまな知識や、何より勉強する習慣を身に着けたことは、その後、役立つはずです。そして、学歴になる大学受験は結果がほしいところですね。