政府がコロナ対策で地方自治体に大盤振る舞いしてきたカネも余っている。
この間、政府は数次にわたる経済対策で、総額100兆円以上の補正予算を組んで自治体などに補助金を配ってきた。
会計検査院は2020年度のコロナ補助金を調査し、執行額が100億円以上の事業のうち16件(概算払い額計3兆4460億円)、計4788億円分が使われていなかったと指摘して返還を求めたが、それは氷山の一角にすぎない。
使い切れなかった予算の多くは今も自治体の基金に積み上げられており、自治体全体の基金残高は平成以降最高の8.6兆円(2022年3月末)にのぼっている。これも埋蔵金だ。無駄使いされる前に取り戻して少子化対策の財源に使える。
さらに政府が隠しているのが、「コロナ不況」と言われた中で、国の税収が大幅に増えていることだ。
コロナの感染拡大が始まった2020年度はロックダウンなどで経済活動が縮小、日本のGDPはマイナス成長となったにもかかわらず、国の税収は60兆8216億円(前年度より2兆3801億円増)と過去最高を記録した。2021年度はそれを大きく上回る約67兆379億円で政府の税収見積もりを10兆円も上回った。
これは一時的な現象ではなく、2022年度の税収も68兆3500億円程度で過去最高を更新すると予測され、2023年度はさらに増え、税収を辛く見積もる財務省さえ来年度予算案では税収を約69.4兆円と想定している。
最近まで年間60兆円に届かなかった税収の水準が、一気に70兆円へと膨れあがっているのだ。
税収が年10兆円も増えているのだから、その一部を少子化対策や防衛予算の増額の財源にあてることもできるはずだが、岸田政権は国民が気づかないうちにバラマキに使っている。高橋氏が言う。
「令和になって税収が10兆円も増えている。本来なら、この増収分を何に使うかもちゃんと議論すべきなのです」
これらの埋蔵金を使えば、国民は増税を免れる。だが、岸田首相が「聞く耳」を持たなければ増税ラッシュは止まらず、大増収の中でまんまと増税までせしめる財務省が高笑いすることになる。
(了。前編から読む)
※週刊ポスト2023年2月10・17日号