八木の17歳から20歳までの3年半を撮影したファースト写真集『pitter-patter』を撮影した写真家・石田真澄氏が八木との思い出、そして『初恋』の撮影現場だった北海道でのエピソードを振り返る。
「初めて八木ちゃんと会ったのは2016年で当時、まだ女子高生でした。彼女の地元の滋賀にいて、彼女が指定するショッピングモールに会いに行ったんです。会った時の第一印象はなんて人懐っこく、いい子なんだろうというものでした。年相応の落ち着きとグッと懐に飛び込んでくる両面を持ち合わせていました。そこからドライブしながら撮影するなど距離が近づいた。
約3年間にわたって彼女が大人になるまでの揺れ動く感情や表情を撮影させてもらいましたが、写真集作りも大詰めを迎えた昨年2月頃に転機がありました。彼女も『初恋』の撮影でずっと北海道にいた。私は彼女を撮りに北海道に行ったのですが、そこで撮影の悩みや大変さを聞きました。ただ、そんななかでも彼女は『この作品で役との向き合い方を教えてもらった気がする』と雪のなかで真っ直ぐに話していたのが印象的でした」
撮影で悩み、苦しんでいる時でも前を向く。まさに朝ドラヒロインのような人間性を秘めた女優・八木莉可子。将来の「国民的女優」間違いナシの逸材だ。
※週刊ポスト2023年3月3日号