スポーツ

JAL入社で始まった「スチュワーデス物語」さながら3か月の研修生活【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#17】

1961年3月。研修期間をへて、晴れて初フライトを踏んだ頃の田中敬子

1961年3月。研修期間をへて、晴れて初フライトを踏んだ頃の田中敬子

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第17話ではCAになるべくハードな「研修」が始まり、生活が一変していく。【連載の第17回。第1回から読む】

 * * *

第17話「10年は飛んでいられる」

 3000人に1人という超難関を突破し、日本航空の客室乗務員採用試験に合格した田中敬子は、年が明けて1961年1月から3か月間の研修に入った。

 当初は15名が合格したが、1人が辞退して14名の採用となった。結婚が決まったのだという。

「JALの試験を受けて合格するくらいだから、良家の子女であるのは間違いないと思うんだけど、年齢的にもお見合いと並行して試験に臨んでいた人も多かったの。実際に『結婚したら辞めなきゃいけない』っていう決まりもあったしね」(田中敬子)

 今ならCAの採用を蹴って、結婚を選択する20代前半の女性は、おそらく皆無だろう。「外交官になりたい」という夢がありながら「スチュワーデスを辞めてから外交官になればいい」と叔母に諭され「それもそうだ」と悟った田中敬子は、ある意味、当世風と言えた。また、日航の男性社員からはこうも言われた。

「君は19歳だそうだね」

「はい、そうです」

「一番若いんだから、10年は飛んでいられるな」

 独身という条件付きだが、30歳まではスチュワーデスの職に居続けられる暗喩である。敬子自身はこう回想する。

「同級生にも高校を卒業して、すぐ結婚する人もちらほらいました。縁談がまとまれば結婚をするという時代だったし、短大に行って結婚する子も増えてきてはいたと思う。でも、私の場合は予備校に行ってたくらいだから、縁談なんか最初からなかったし、あるわけないと思っていた。だから呑気に“よし、じゃあ、10年は勤めてみよっか”なーんて思ったりして」

関連キーワード

関連記事

トピックス

NHK大河ドラマ『べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~』の打ち上げに参加したベッキー
《ザックリ背面ジッパーつきドレス着用》ベッキー、大河ドラマの打ち上げに際立つ服装で参加して関係者と話し込む「充実した日々」
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
雅子さまが三重県をご訪問(共同通信社)
《お洒落とは》フェラガモ歴30年の雅子さま、三重県ご訪問でお持ちの愛用バッグに込められた“美学” 愛子さまにも受け継がれる「サステナブルの心」
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
一般女性との不倫が報じられた中村芝翫
《芝翫と愛人の半同棲にモヤモヤ》中村橋之助、婚約発表のウラで周囲に相談していた「父の不倫状況」…関係者が明かした「現在」とは
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(共同通信/Instagramより)
《噂のパートナーNiki》この1年で変化していた山本由伸との“関係性”「今年は球場で彼女の姿を見なかった」プライバシー警戒を強めるきっかけになった出来事
NEWSポストセブン
マレーシアのマルチタレント「Namewee(ネームウィー)」(時事通信フォト)
人気ラッパー・ネームウィーが“ナースの女神”殺人事件関与疑惑で当局が拘束、過去には日本人セクシー女優との過激MVも制作《エクスタシー所持で逮捕も》
NEWSポストセブン
デコピンを抱えて試合を観戦する真美子さん(時事通信フォト)
《真美子さんが“晴れ舞台”に選んだハイブラワンピ》大谷翔平、MVP受賞を見届けた“TPOわきまえファッション”【デコピンコーデが話題】
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組・司忍組長2月引退》“竹内七代目”誕生の分岐点は「司組長の誕生日」か 抗争終結宣言後も飛び交う「情報戦」 
NEWSポストセブン
活動を再開する河下楽
《独占告白》元関西ジュニア・河下楽、アルバイト掛け持ち生活のなか活動再開へ…退所きっかけとなった騒動については「本当に申し訳ないです」
NEWSポストセブン
ハワイ別荘の裁判が長期化している
《MVP受賞のウラで》大谷翔平、ハワイ別荘泥沼訴訟は長期化か…“真美子さんの誕生日直前に審問”が決定、大谷側は「カウンター訴訟」可能性を明記
NEWSポストセブン
11月1日、学習院大学の学園祭に足を運ばれた愛子さま(時事通信フォト)
《ひっきりなしにイケメンたちが》愛子さま、スマホとパンフを手にテンション爆アゲ…母校の学祭で“メンズアイドル”のパフォーマンスをご観覧
NEWSポストセブン