3月16日、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)の準々決勝が行われ、日本は大谷翔平の投打に渡る活躍などでイタリアを9対3で破り、5大会連続の準決勝進出を決めた。この模様はテレビ朝日系列で放送され、世帯視聴率は48.0%(ビデオリサーチ調べ・関東地区。以下同)を記録した。1994年10月8日の中日対巨人戦の48.8%にはわずかに及ばなかったが、野球中継で歴代2位の数字となった。民放関係者が話す。
「最近はインターネットに押されて、テレビは視聴率を取れなくなっています。30年くらい前は高視聴率といえば20%を指しましたが、近年はゴールデンタイムでも10%に乗れば良しとされる時代です。その中で、29年前の『10.8決戦』と同じくらいの数字を取れた。魅力的なコンテンツであれば、テレビは今も視聴率が取れるという証明になった。業界にとって久しぶりの明るい話題です」
これまでWBCの最高世帯視聴率は、2006年の第1回大会決勝のキューバ戦で43.4%(日本テレビ。10時45分から270分)だった。今大会の侍ジャパンは、3月10日の1次ラウンドの韓国戦(TBS)の44.4%で歴代最高をマーク。準々決勝のイタリア戦で48.0%と記録をさらに更新した。
「WBCの日本戦の世帯視聴率は2006年の1次ラウンドでは中国戦18.2%(TBS。18時25分から)、台湾戦20.3%(日本テレビ。19時からの数字)、韓国戦18.5%(テレビ朝日。18時から)でした。今年は1次ラウンドから準々決勝までの5試合全て19時試合開始とはいえ、第1回大会の数字と比べると、2.5倍くらい高くなっている。2006年当時と比べてテレビの総世帯視聴率が下がっているわけですから、驚異的なことです」(同前)
地上波の他にAmazonプライム・ビデオも中継
サッカーW杯日本戦の世帯視聴率と比べると、どうなのか。昨年のカタール大会では予選リーグのドイツ戦36.8%(NHK)、コスタリカ戦42.9%(テレビ朝日)、スペイン戦28.7%(後半。NHK)、クロアチア戦34.6%(フジテレビ)だった。ちなみに、2006年のドイツ大会は予選リーグのオーストラリア戦49.0%(NHK)、クロアチア戦52.7%(テレビ朝日)、ブラジル戦37.2%(後半。NHK)だった。それぞれ放送時間帯が違い、早朝もあれば、ゴールデンタイムもあった。ただ、最高視聴率で比べると2006年と2022年では9.8%も低くなっている。メディア関係者が理由を明かす。
「サッカーの場合、昨年のカタール大会ではインターネットテレビ局の『ABEMA』が地上波テレビの視聴者を奪いましたからね。決勝トーナメント1回戦の日本対クロアチアの試合終了直後には視聴者数が2343万人に達しました。フジテレビの中継の到達人数は3674万2000人で、世帯視聴率は34.6%でした。このデータから『ABEMA』の“視聴率”を考えると20%はあったでしょう。テレビがネット配信に20%も持って行かれていたと推定できます」