1994年の「10.8」決戦を制し、胴上げされる長嶋茂雄監督(時事通信フォト)

野球中継の歴代最高視聴率は1994年の「10.8」決戦。中日を制し、胴上げされる長嶋茂雄監督(時事通信フォト)

 WBCでは地上波テレビの他に、インターネットでは『Amazonプライム・ビデオ』が中継しているが、テレビの数字を奪うまでには至っていないようだ。

「もし高い視聴者数になれば公式発表が出ますが、音沙汰がないですから、地上波を脅かす存在にはなっていないようです。強化試合では実況をラジオアナウンサーが担当したことなどで話題になっていましたが、本大会が始まってから『Amazonプライム』の中継内容がツイッターのトレンドに上がるような盛り上がりもないですよね。ほとんどのファンはネット配信ではなくテレビを見ているから、準々決勝で世帯視聴率が48.0%まで上がった面もあるでしょう」(同前)

衝撃的だったABEMAの本田圭佑解説

 WBCの『Amazonプライム・ビデオ』がW杯の『ABEMA』のように行かない理由は何か。松木安太郎研究家でスポーツ解説者の分析を頻繁に試みている岡野誠氏が話す。

「もちろん、『Amazonプライム・ビデオ』を見るには会費が必要で、『ABEMA』は無料で見られるという差は大きいでしょう。ただ、それ以上に、テレビ中継の内容と明確な差を提示できていないからではないでしょうか。これは媒体や解説者、アナウンサーの問題ではない。野球中継の解説が出尽くしている感がある。逆に言えば、W杯の『ABEMA』での本田圭佑さんの解説が衝撃的過ぎたんです。

 システムの変更をすぐに指摘し、相手の問題点、日本の突破口を明確に示した。それまでにない斬新なサッカー解説でした。また、サッカーと野球の特性の違いも大きい。サッカーはゴールを決めた選手が活躍したことはわかりますが、素人にはそこに至るまでのプレーの何が凄かったのかわかりづらい面も結構あります。従来の解説者以上に、本田さんはそこら辺を明確に分析してくれていました。

 野球は、結果が数字でハッキリとひとり一人に出ますし、映像を見ればファンでなくても誰が活躍したかわかる。もちろん陰の好プレーもありますが、その指摘も解説者による違いがそこまで出せない。つまり、突出した解説者が生まれにくいんです」

 野球中継でネット配信が地上波と違いを出すためには何が必要なのか。

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