芸能

高田文夫氏が“お笑いの首領”と真昼の会談、東京人の後輩とのチョイワル話について語る

高田文夫氏の後輩だという俳優・斎藤工(イラスト/佐野文二郎)

高田文夫氏の後輩だという俳優・斎藤工(イラスト/佐野文二郎)

 放送作家、タレント、演芸評論家、そして立川流の「立川藤志楼」として高座にもあがる高田文夫氏が『週刊ポスト』で連載するエッセイ「笑刊ポスト」。今回は世間をざわつかせた会談とチョイワル話について綴る。

 * * *
 テレビもラジオも銭湯も、何処でもWBCだ。野球好きの私としても大興奮だが少し落ち着こう。私も古くから「WBC」のメンバーで、人呼んで「若くはないぞ バカ センター」のWBCだ。

 こんな時こそ普段なかなか会わない人と会ってみようと思い私のラジオのゲストにあの吉本興業の大崎洋会長に来てもらった。結構業界的にはピリついたようで「東西お笑い界の首領が昼間に会談」なんてあおるところもあった。業界通であればあるほど、息を殺して生放送を聴いていたようで、東西を知る松村邦洋など珍しく興奮していて「だってあの吉本会長が生スタジオに来るっていうんでしょ。西の吉本の首領VS.かつての『関東高田組』の組長。今や東京の漫才協会外部理事ですよ。そのふたりが会うなんて……」(オレはちっとも偉くねぇじゃねぇか。なんだ外部理事って?)松村しみじみと「やはり40年の月日は伊達じゃありませんね。高田センセーがにこやかに吉本を迎え入れて、まさに無血開城の勝海舟かと思いました」

 思えば1980年“漫才ブーム”が突如吹き荒れ大阪の吉本は慌てて急遽赤坂に黒電話一本ひき、電話ボックスのような小さな部屋を借り“Mr.吉本”といわれた木村(政雄)、そして部下の大崎が小さくなって電話をあわただしく受けていた。私は番組の用件で“やすきよ”のスケジュールと“紳竜”“ぼんち”の依頼と打ちあわせに行っていた。こっち側(東京側)の持ち駒はツービートとセントルイスしかなかった。つい昨日のことのように覚えている。

 あれから43年、横山やすしは死に、紳助は引退し、セント・ルイスはふたり共亡くなった。田園調布に家は建たなかった。

 そして10数年前。吉本が新宿歌舞伎町の中古の小学校に来るときいた。私は18歳の頃から通いつめていたゴールデン街へ行くのを60歳を過ぎてピタッと止めた。あれほど毎晩呑んだくれていたのに、だ。私の耳に、ゴールデン街が大阪弁ばかりになったと噂が届いたからだ。根っからの渋谷・新宿っ子としては、また行く所がなくなった。

 俳優・斎藤工も映画『零落』のチラシを持ってゲストに。私の高校の大後輩なのだ。世田谷は松原(明大前)にある「日本学園」。戦前は日本中学といい吉田茂、横山大観、永井荷風らが出て、戦後は荒井注、私、斎藤工である。聴いたみんなから「同じにおいがした。世田谷の坊ちゃんのチョイワル」だと。近所の女子校の話などですごい盛りあがった。いい後輩だ。東京人はいい。

※週刊ポスト2023年4月7・14日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
アメリカ・オハイオ州のクリーブランドで5歳の少女が意識不明の状態で発見された(被害者の母親のFacebook /オハイオ州の街並みはサンプルです)
【全米が震撼】「髪の毛を抜かれ、口や陰部に棒を突っ込まれた」5歳の少女の母親が訴えた9歳と10歳の加害者による残虐な犯行、少年司法に対しオンライン署名が広がる
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
キム・カーダシアン(45)(時事通信フォト)
《カニエ・ウェストの元妻の下着ブランド》直毛、縮れ毛など12種類…“ヘア付きTバックショーツ”を発売し即完売 日本円にして6300円
NEWSポストセブン
レフェリー時代の笹崎さん(共同通信社)
《人喰いグマの襲撃》犠牲となった元プロレスレフェリーの無念 襲ったクマの胃袋には「植物性のものはひとつもなく、人間を食べていたことが確認された」  
女性セブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(秋田県上小阿仁村の住居で発見されたクマのおぞましい足跡「全自動さじなげ委員会」提供/PIXTA)
「飼い犬もズタズタに」「車に爪あとがベタベタと…」空腹グマがまたも殺人、遺体から浮かび上がった“激しい殺意”と数日前の“事故の前兆”《岩手県・クマ被害》
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン