地球温暖化に伴う蚊の生息域の拡大や降雨量の増加などの気候変化で、今後の日本はデング熱に無関係とは言えない環境に置かれます。観光・インバウンド(訪日外国人旅行客)の拡大を目指す中で、いろいろな病原体の侵入に曝されることになり、特にデング熱が脅威となる可能性があります。
デングウイルスは感染によってできた免疫(抗体)が、別の血清型のデングウイルスに再感染したときに逆に悪さをして、病態を増悪させるという性質(抗体依存性感染増強)があります。デング出血熱は2度目以降の感染による重症化なのです。再感染で重症化率が上がるという、恐ろしい性質を持つ感染症もあるということです。
【プロフィール】
岡田晴恵(おかだ・はるえ)/共立薬科大学大学院を修了後、順天堂大学にて医学博士を取得。国立感染症研究所などを経て、現在は白鴎大学教授。専門は感染免疫学、公衆衛生学。
※週刊ポスト2023年4月7・14日号