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流行歌手にも遭遇、給与は破格「日航CA時代」の浮世離れした生活の実態【力道山未亡人~元日航CA・田中敬子の数奇な半生~#19】 

3月21日、亡き夫力道山のお墓を参った田中敬子

3月21日、亡き夫力道山のお墓を参った田中敬子

“日本プロレスの父”力道山が大相撲からプロレスに転向し、日本プロレスを立ち上げてから2023年で70年が経つ。力道山はすぐに国民的スターとなったが、1963年の殺傷事件で、39年間の太く短い生涯を終えた。しかし、力道山を取り巻く物語はこれで終わりではない──。彼には当時、結婚して1年、まだ21歳の妻・敬子がいた。元日本航空CAだった敬子はいま81歳になった。「力道山未亡人」として過ごした60年に及ぶ数奇な半生を、ノンフィクション作家の細田昌志氏が掘り起こしていく。第19話では当時のCAの華やかな生活の実態に迫る。【連載の第19回。1回から読む】 

 * * * 

19話「オンリーユー」 

 田中敬子が200人に1人という超難関を突破し、日航のスチュワーデスとなった1961年は、雇用先の日本航空にとっても過渡期だった。 

 それまで「ダグラスDC6B」や「ダグラスDC7C」といった旧式のプロペラ機で、国内線はもとより、アラスカのアンカレッジ経由でシアトルまで向かったり、ホノルル経由でサンフランシスコまで飛んでいたのに、世界で初めて超音速飛行を行ったジェット旅客機 「ダグラスDC8」をダグラス・エアクラフト社から買い入れ、就航を始めた年でもあったからだ。 

 田中敬子が採用された臨時募集の第19期も、おそらく、これらの事情が横臥していたと見てよく、その前提には1964年の五輪開催地が東京に決まったことがあったはずだ。組織の拡充は喫緊の課題だったからである。 

 3か月の研修期間を修了し、正式にスチュワーデスとなった田中敬子がまず最初にやったことは、パスポートと就労ビザの取得だった。「すぐ国際線を飛ぶわけではないはずなのに」と訝しく思いながら、上司に命じられるまま虎ノ門のアメリカ大使館に出向いて、いくつもの書類に記入した後、担当官の前で「宣誓」までさせられたことを、81歳になった今も昨日のことのように憶えている。 

「羽田―伊丹」「羽田―板付(福岡)」「羽田―千歳」と国内線のフライトを繰り返し経験した後は「伊丹―那覇」も飛んだ。当時は米国領だった沖縄はパスポートが必要だった。「だからパスポートとビザが必要だったのか」と敬子は膝を打った。那覇も含む国内線で1か月ほど経験を積むと、「ヒヨコ」と呼ばれた新人スチュワーデスは、放り出されるように国際線にシフトされた。

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