国際情報

アメリカから中国への留学生が激減 草の根的な相互理解の低下に懸念も

アメリカから中国への留学生が減った背景は?

アメリカから中国への留学生が減り、米中両国間で草の根的な相互理解に影響

 中国はこれまでの新型コロナウイルスの感染拡大によって、外国人の入国をほぼ全面的に禁止していたため、中国に留学する米国人大学生の数は20年ぶりの低水準に落ち込んだ。2020年の米国から中国への留学者数はわずか382人と、コロナ前の2018年の米国人留学者数と比べると97%も激減していることが明らかになった。

 コロナ感染が終息しつつあるなか、中国が留学生の受け入れを再開しても、米中関係が急激に悪化する現在の状況下では、米国人留学生の数が回復するかどうかは不透明だ。米紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が報じた。

 中国に留学する米国人大学生は2000年には3000人に満たなかったが、その後、急激に増加。2007年には約1万3000人と約4倍にも達し、2011年には1万5000人とピークを迎えた。その後、徐々に減少し、2018年には1万2000人を下回っていた。さらに、決定的な減少を招いたのが世界的な新型コロナウイルスの感染拡大だ。

 中国ばかりでなく、他の国への米国からの留学もほぼストップし、米国務省や国際教育研究所によると、2020年の米国人留学生の数は全体で前年比96%も減少したという。また、日本への米国人留学生の数は2018年には約9000人だったが、2020年には130人にまで激減した。

 とはいえ、日本への留学生数は今後2、3年で2018年以前の水準に戻る可能性があるが、米中関係の悪化などから、米国人学生が中国を避けるようになっているのは間違いない。留学生の減少は将来的に米中両国間で草の根的な相互理解が薄れることを意味する。2022年にはアメリカの外国人留学生数でインドが中国を抜いており、こうした傾向は続いていくものと考えられる。

関連キーワード

関連記事

トピックス

10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン
ミセス・若井(左、Xより)との“通い愛”を報じられたNiziUのNINA(右、Instagramより)
《ミセス若井と“通い愛”》「嫌なことや、聞きたくないことも入ってきた」NiziU・NINAが涙ながらに吐露した“苦悩”、前向きに披露した「きっかけになったギター演奏」
NEWSポストセブン
「ラオ・シルク・レジデンス」を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月21日、撮影/横田紋子)
「華やかさと品の良さが絶妙」愛子さま、淡いラベンダーのワンピにピンクのボレロでフェミニンなコーデ
NEWSポストセブン
クマ被害で亡くなった笹崎勝巳さん(左・撮影/山口比佐夫、右・AFP=時事)
《笹崎勝巳レフェリー追悼》プロレス仲間たちと家族で送った葬儀「奥さんやお子さんも気丈に対応されていました」、クマ襲撃の現場となった温泉施設は営業再開
NEWSポストセブン
役者でタレントの山口良一さん
《笑福亭笑瓶さんらいなくなりリポーターが2人に激減》30年以上続く長寿番組『噂の!東京マガジン』存続危機を乗り越えた“楽屋会議”「全員でBSに行きましょう」
NEWSポストセブン
11月16日にチャリティーイベントを開催した前田健太投手(Instagramより)
《いろんな裏切りもありました…》前田健太投手の妻・早穂夫人が明かした「交渉に同席」、氷室京介、B’z松本孝弘の妻との華麗なる交友関係
NEWSポストセブン
高市早苗氏が首相に就任してから1ヶ月が経過した(時事通信フォト)
高市早苗首相への“女性からの厳しい指摘”に「女性の敵は女性なのか」の議論勃発 日本社会に色濃く残る男尊女卑の風潮が“女性同士の攻撃”に拍車をかける現実
女性セブン
イギリス出身のインフルエンサー、ボニー・ブルー(Instagramより)
《1日で1000人以上と関係を持った》金髪美女インフルエンサーが予告した過激ファンサービス… “唾液の入った大量の小瓶”を配るプランも【オーストラリアで抗議活動】
NEWSポストセブン
日本全国でこれまでにない勢いでクマの出没が増えている
《猟友会にも寄せられるクレーム》罠にかかった凶暴なクマの映像に「歯や爪が悪くなってかわいそう」と…クレームに悩む高齢ベテランハンターの“嘆き”とは
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)と稲川会の内堀和也会長
六代目山口組が住吉会最高幹部との盃を「突然中止」か…暴力団や警察関係者に緊張が走った竹内照明若頭の不可解な「2度の稲川会電撃訪問」
NEWSポストセブン
警視庁赤坂署に入る大津陽一郎容疑者(共同通信)
《赤坂・ライブハウス刺傷で現役自衛官逮捕》「妻子を隠して被害女性と“不倫”」「別れたがトラブルない」“チャリ20キロ爆走男” 大津陽一郎容疑者の呆れた供述とあまりに高い計画性
NEWSポストセブン
無銭飲食を繰り返したとして逮捕された台湾出身のインフルエンサーペイ・チャン(34)(Instagramより)
《支払いの代わりに性的サービスを提案》米・美しすぎる台湾出身の“食い逃げ犯”、高級店で無銭飲食を繰り返す 「美食家インフルエンサー」の“手口”【1か月で5回の逮捕】
NEWSポストセブン