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坂本龍一さん「相続でトラブルが起きないように」闘病を支えた事実婚妻との“けじめ”を思い描いていた

相続でトラブルが起きないようにと考えていた坂本龍一さん(時事通信フォト)

相続でトラブルが起きないようにと考えていた坂本龍一さん(時事通信フォト)

 3月28日、数々の名曲を世に送り出してきた不世出のアーティストが家族に見守られながらこの世を去った。やせ細り、多くの管が体に入った状態だったが、最後まで気丈に振る舞い、がんとともに生ききったその表情は、どこか穏やかな様子だったという。坂本龍一さん、享年71。新年度のスタートを控えた4月2日夜に訃報が伝えられると、その早すぎる旅立ちを惜しむ声が日本列島、そして、世界中にあふれた。

「昨年の秋頃にはもうかなり具合が悪くなっていたようで、亡くなる直前の3月25日には、パートナーのA子さんが彼の親しい知人たちに『かなり危険な状態です』と、悲しみを押し殺して報告していました」(音楽関係者)

 晩年はがんとの闘いの日々だった坂本さんに、最初にがんが判明したのは2014年のこと。中咽頭がんと診断され、当時生活の拠点があったアメリカ・ニューヨークの病院で治療に専念することに。幸い放射線治療が成功し、がんは寛解したが、2020年6月、今度は直腸がんが見つかった。

「ニューヨークに住んでいた坂本さんは、中咽頭がんのときと同じ病院で治療を受けることになりました。ところが、今度はよくならないし、物忘れもするようになった。そこで日本に帰国した際に別の病院で検査をしたところ、直腸がんが肝臓やリンパなどに転移していると告げられたのです」(芸能関係者)

 信頼していたニューヨークの病院では告げられなかった転移の診断に坂本さんはひどく落胆した。非情な宣告はそれだけではなかった。医師からは治療をしなければ余命半年、強い抗がん剤を使っても5年生存率は50%と言い渡されたのだ。特にがんが両方の肺にも転移していたことに、坂本さんは強いショックを受けたという。

「坂本さんはつらい治療を行ってまで命を引き延ばすことに葛藤もあったようですが、日本の病院を信頼し、1年で6回もの手術を受けて懸命にがんと向き合いました。手術は時に20時間を超えることもあったそうです」(前出・芸能関係者)

 手術後には体力の衰えを実感し、自身が外国にいると錯覚するなど、ひどいせん妄に悩まされることもあった。そんな闘病生活を支え、常に坂本さんに寄り添っていたのが、長年、事実婚の関係にあったA子さんだ。

「腸を30cm近く切除した手術の影響で体重が10kg以上落ちてガリガリになってしまった。そんな坂本さんを見舞うため、A子さんは毎日のように病院へ行くのですが、当時はコロナ対策で面会は禁止されていました。それでもA子さんはなんとか坂本さんを元気づけようと、窓越しに坂本さんと手を触り合うなどして励ましていました。坂本さんは“彼女の愛に救われる思いだった”と深く感謝していました」(前出・芸能関係者)

 しかし、病気の進行は時を待たない。

「坂本さんは気丈にしていましたが、この半年ほどでさらにやせて体力も落ち、大好きな音楽や活字、そして家族との時間も以前のように過ごせなくなっていました。ピアノも弾けなくなり、亡くなる直前に受けた共同通信の取材にも《現在がんの闘病中で、音楽制作を続けるのも難しいほど気力・体力ともに減衰している》と答えていました。

 最後の1週間は本当に体がきつかったようです。ずっとそばで寄り添い続けたA子さんも、亡くなる3日前には“覚悟”をうかがわせていたほどでした」(前出・芸能関係者)

 そうした中にあっても坂本さんはA子さんのことを気にかけ「彼女のために遺産を残したい、財産を分け与えたい」とずっと話していたという。

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