ライフ

「降圧剤飲んでも下がらない」は二次性高血圧の可能性 慢性腎不全、腎がんなど重病のサインのことも

二次性高血圧を引き起こす病気は重病のケースもあるので注意が必要(イメージ)

二次性高血圧を引き起こす病気は重病のケースもあるので注意が必要(イメージ)

 降圧剤を飲んでも血圧の数値が下がらないときは、別の病気を疑う必要がある。60代男性のAさんは、血圧が160を超えたことで降圧剤を飲み始めた。しかし、数値は下がらず、2週間後に別の作用機序の降圧剤が1種類、追加された。Aさんが言う。

「薬は規則正しく服用していたのですが、数値が基準値まで下がらない。薬が増えた後も、十分には下がりませんでした。脚のむくみも気になり、念のため別の病院で相談したら、『精密検査をしよう』となったんです」

 そこで発覚したのが、慢性腎不全だった。

「今後の経過次第では、人工透析が必要になるかもしれないと言われ、腎不全の治療が始まりました。もし、降圧剤だけを飲み続けていたらと思うと……」(同前)

 なぜ、Aさんの血圧はタイプの異なる降圧剤を飲んでも下がらなかったのか。秋津医院院長の秋津壽男医師が言う。

「高血圧の大半は生活習慣や遺伝などの影響による『本態性高血圧』ですが、それ以外に、ある特定の病気が原因で上がる『二次性高血圧』と呼ばれるものがあります。二次性高血圧を引き起こす病気は重病のケースもあるので注意が必要です」

 慢性腎不全(腎実質性高血圧)はその代表例だ。

「腎臓は尿を作る際、『血がほしい』との指令を脳や心臓に出します。ところが慢性腎不全では、腎臓の働きが悪いため尿を十分に作ることができず、『血を送れ』の指令だけが出続けてしまう。それにより血圧が高くなってしまうのです」(同前)

 薬剤師の長澤育弘氏(銀座薬局代表)が言う。

「病態が隠れていて降圧剤の効果が出ないパターンのうち、慢性腎不全の場合は、メジャーな降圧剤のカルシウム拮抗薬は効果が出ません。腎機能が低下すると尿量が減少するため、体内の水分量が増えて血圧が上がり、下肢もむくみます。この場合、血圧を下げるには利尿薬を処方しなければいけません」

 こうした「二次性高血圧」だと、原因となる病気の存在になかなか気付きにくい。すると薬の服用量が増え、治療の開始が遅れる恐れも出てくる。

「降圧剤は遅くても5日~1週間くらい飲み続ければ血圧は下がる。もし2週間飲み続けても効果が見られなければ、腎臓や心臓などの病気が疑われるので医師に相談しましょう。漫然と薬を飲み続けても数値は下がらないし、病気が進行する恐れがある」(長澤氏)

関連記事

トピックス

国民に笑いを届け続けた稀代のコント師・志村けんさん(共同通信)
《恋人との密会や空き巣被害も》「売物件」となった志村けんさんの3億円豪邸…高級時計や指輪、トロフィーは無造作に置かれていたのに「金庫にあった大切なモノ」
NEWSポストセブン
国民に「リトル・マリウス」と呼ばれ親しまれてきたマリウス・ボルグ・ホイビー氏(NTB/共同通信イメージズ)
ノルウェー王室の人気者「リトル・マリウス」がレイプ4件を含む32件の罪で衝撃の起訴「壁に刺さったナイフ」「複数の女性の性的画像」
NEWSポストセブン
愛子さまが佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”とは(時事通信フォト)
《淡いピンクがイメージカラー》「オシャレになった」「洗練されていく」と評判の愛子さま、佳子さまから学ぶ“ファッション哲学”
NEWSポストセブン
年下の新恋人ができたという女優の遠野なぎこ
《部屋のカーテンはそのまま》女優・遠野なぎこさん急死から2カ月、生前愛用していた携帯電話に連絡すると…「ポストに届き続ける郵便物」自宅マンションの現在
NEWSポストセブン
背中にびっしりとタトゥーが施された犬が中国で物議に(FB,REDより)
《犬の背中にびっしりと龍のタトゥー》中国で“タトゥー犬”が大炎上、飼い主は「麻酔なしで彫った」「こいつは痛みを感じないんだよ」と豪語
NEWSポストセブン
(インスタグラムより)
《“1日で100人と寝る”チャレンジで物議》イギリス人インフルエンサー女性(24)の両親が現地メディアで涙の激白「育て方を間違ったんじゃないか」
NEWSポストセブン
藤澤五月さん(時事通信フォト)
《五輪出場消滅したロコ・ソラーレの今後》藤澤五月は「次のことをゆっくり考える」ライフステージが変化…メンバーに突きつけられた4年後への高いハードル
NEWSポストセブン
石橋貴明、現在の様子
《白髪姿の石橋貴明》「元気で、笑っていてくれさえすれば…」沈黙する元妻・鈴木保奈美がSNSに記していた“家族への本心”と“背負う繋がり”
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
「タダで行為できます」騒動の金髪美女インフルエンサー(26)が“イギリス9都市をめぐる過激バスツアー”開催「どの都市が私を一番満たしてくれる?」
NEWSポストセブン
ドバイのアパートにて違法薬物所持の疑いで逮捕されたイギリス出身のミア・オブライエン容疑者(23)(寄付サイト『GoFundMe』より)
「性器に電気を流された」「監房に7人、レイプは日常茶飯事」ドバイ“地獄の刑務所”に収監されたイギリス人女性容疑者(23)の過酷な環境《アラビア語の裁判で終身刑》
NEWSポストセブン
Aさんの乳首や指を切断したなどとして逮捕、起訴された
「痛がるのを見るのが好き」恋人の指を切断した被告女性(23)の猟奇的素顔…検察が明かしたスマホ禁止、通帳没収の“心理的支配”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
【七代目山口組へのカウントダウン】司忍組長、竹内照明若頭が夏休み返上…頻発する「臨時人事異動」 関係者が気を揉む「弘道会独占体制」への懸念
NEWSポストセブン