国内

山口組系組長のラーメン店店主が厨房で銃殺 ラーメン屋が暴力団の「シノギ」として人気になった背景

ラーメン店店主(写真/共同通信社)

山口組系組長が経営するラーメン店で銃撃事件となった(写真/共同通信社)

「ラーメン店で店主死亡、口の中で発砲か 暴力団関係者とみて捜査進む」(朝日新聞デジタル4月22日付配信)というニュースに、困惑の声が広がっている。てっきりラーメン店の店主が無関係な暴力団の事件に巻き込まれたのかと思いきや、そうではない。この店主自身が、暴力団だったというのだ。暴力団取材の第一人者であるフリーライターの鈴木智彦氏が、事件の真相をレポートする。

 * * *
「店主が倒れている」──神戸市長田区のラーメン店『龍の髭』に勤する女性従業員が119番通報してきたのは4月22日午前11時過ぎだった。女性が買い出しから戻ると、厨房で店主が仰向けに倒れていたのだ。外傷はなかったが頭からかなり出血しており、その後、搬送された病院で死亡が確認された。事件性が疑われたのは店主が六代目山口組の中核組織である弘道会系組長で、画像診断で頭部から銃弾が発見されたからだ。

「亡くなった余嶋学組長(57)の頭部に外傷がないので、警察も最初は脳梗塞かもしれないと話していました。その後、頭の中で銃弾が見つかったのですが、頭蓋骨に損傷がないので、口を開けて銃口をくわえるなどして、拳銃を発射した可能性があります」(事件を取材した在阪テレビ局報道部記者)

 店内には争った形跡がなかったという。誰かに組み伏せられ、無理やり口腔内に銃身をねじ込まれたなら、通常、無抵抗とは考えにくい。暴れて歯が折れたり、多数の裂傷・擦過傷があるはずなのにそれもない。

「なので自殺の可能性もある。でも自分で銃身をくわえて撃ったなら、店内に拳銃があるのに凶器は見つかっていません。誰か自殺を幇助した人間がいて、拳銃をも持ち去ったのかもしれない。警察は他殺、自殺の両面で捜査していますが、きわめて不思議な事件です」(同)

 付近の防犯カメラには、黒い服を着ている若い男が店を訪れ、その後走り去る姿が映っていた。警察はこの男の行方を探している。

「ラーメンに一生懸命だった」

 なぜ、余嶋組長は殺されたのか。直後、野球賭博などでトラブルがあったという噂も出たが、暴力団ならその程度のもめ事は日常的にある。六代目山口組と神戸山口組、また神戸山口組から分派した池田組・絆会連合がいまだ抗争中のため、抗争事件だったのではという見立てもあった。が、抗争中にもかかわらず、個人的怨恨での銃撃・殺害事件が発生するのは珍しくない。

 暴力団という人種は親分や組織のために人柱となり、喧嘩相手を殺すのは躊躇しても、自らの利益・メンツのためなら投げやりに他人を殺す。山口組の分裂抗争はほぼ「殺る殺る詐欺」に終始しているが、暴力団員には、感情が暴発すればあり得ないほど捨て鉢となり、他人を殺す怖さがある。すべての暴力団は、こうした事件の恐怖イメージを集積させ、看板を恐怖で虚飾して、他人の支配に使用する。

関連記事

トピックス

大谷翔平(写真/アフロ)
大谷翔平、不動産業者のSNSに短パン&サンダル姿で登場、ハワイの高級リゾードをめぐる訴訟は泥沼化でも余裕の笑み「それでもハワイがいい」 
女性セブン
今の巨人に必要なのは?(阿部慎之助・監督)
巨人・阿部慎之助監督「契約最終年」の険しい道 坂本や丸の復活よりも「脅かす若手の覚醒がないとAクラスの上位争いは厳しい」とOBが指摘
週刊ポスト
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン
不倫報道の渦中にいる永野芽郁
《ベリーショートのフェミニスト役で復活》永野芽郁が演じる「性に開放的な女性ヒロイン役」で清純派脱却か…本人がこだわった“女優としての復帰”と“ケジメ”
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の一足早い「お正月」》司組長が盃を飲み干した「組長8人との盃儀式」の全貌 50名以上の警察が日の出前から熱視線
NEWSポストセブン
垂秀夫・前駐中国大使へ「中国の盗聴工作」が発覚(時事通信フォト)
《スクープ》前駐中国大使に仕掛けた中国の盗聴工作 舞台となった北京の日本料理店経営者が証言 機密指定の情報のはずが当の大使が暴露、大騒動の一部始終
週刊ポスト
タレントとして、さまざまなジャンルで活躍をするギャル曽根
芸人もアイドルも“食う”ギャル曽根の凄み なぜ大食い女王から「最強の女性タレント」に進化できたのか
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
安達祐実、NHK敏腕プロデューサーと「ファミリー向けマンション」半同棲で描く“将来設計” 局内で広がりつつある新恋人の「呼び名」
NEWSポストセブン
還暦を迎えられた秋篠宮さま(時事通信フォト)
《車の中でモクモクと…》秋篠宮さまの“ルール違反”疑う声に宮内庁が回答 紀子さまが心配した「夫のタバコ事情」
NEWSポストセブン
熱愛が報じられた長谷川京子
《磨きがかかる胸元》長谷川京子(47)、熱愛報道の“イケメン紳士”は「7歳下の慶應ボーイ」でアパレル会社を経営 タクシー内キスのカレとは破局か
NEWSポストセブン
三笠宮妃百合子さまの墓を参拝された天皇皇后両陛下(2025年12月17日、撮影/JMPA)
《すっごいステキの声も》皇后雅子さま、哀悼のお気持ちがうかがえるお墓参りコーデ 漆黒の宝石「ジェット」でシックに
NEWSポストセブン
「週刊ポスト」新年特大号発売! 紅白激震!未成年アイドルの深夜密会ほか
「週刊ポスト」新年特大号発売! 紅白激震!未成年アイドルの深夜密会ほか
NEWSポストセブン