芸能

『日向坂で会いましょう』はなぜ “バラエティ力”養成機関になったのか? ディレクターが演出舞台裏を明かす【連載・てれびのスキマ「テレビの冒険者たち」】

収録中の関谷司Dの様子

収録中の関谷司Dの様子

 齊藤京子や佐々木久美、丹生明里を筆頭に、アイドルグループ「日向坂46」のメンバーがバラエティ番組に出演し、活躍の幅を広げている。彼女たちの“バラエティ力”を養成しているのは冠バラエティ番組『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)だろう。

 お笑いコンビ・オードリーがMCを務める当番組の内容は、ひな壇の日向坂46のメンバーが大喜利からエピソードトーク、時にはリアクション芸などに果敢にも挑戦するというもの。アイドルファン以外の視聴者の反響も大きく、時に「アイドルバラエティの域を超えた面白さ」と評される。番組の演出を務めるのは、お笑い畑一筋のテレビマン人生を歩んできた関谷司氏だ。『「ぷっ」すま』『内村プロデュース』(ともにテレビ朝日)でADを経験してきた関谷氏に『日向坂で会いましょう』の演出術、編集術について訊いた。

 聞き手は、『1989年のテレビっ子』『芸能界誕生』などの著書があるてれびのスキマ氏。テレビ番組の制作者にインタビューを行なうシリーズの第5回【前後編の前編】。

 * * *

ケイマックスと日向坂46の出会い

『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)ディレクターとして現場を見守る

『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)ディレクターとして現場を見守る

「イカれてる世界だと思う。ケイマックスの世界なんて!」

『あちこちオードリー』(テレビ東京)に日向坂46のメンバーが出演した際(2021年9月5日)、潮紗理菜が『日向坂で会いましょう』(テレビ東京)での春日俊彰の顔写真が貼ってある椅子に座るといったバラエティ的な作法に戸惑って相談していたことを明かすと、若林正恭は、『日向坂で会いましょう』の制作会社の名前を出して彼女を擁護した。

 そう、『日向坂で会いましょう』はアイドル番組として「イカれた」番組なのだ。お笑い要素の強さは他の追随を許さない。

 それもそのはず、演出を担当する関谷司は、お笑い畑一筋でテレビマン人生を歩んできた。

「僕は1978年生まれで最後のテレビっ子世代だと思うんです。僕が大学生の頃、ケイマックスは『内村プロデュース』(テレビ朝日)とか『百萬男』、『桑田佳祐の音楽寅さん』(ともにフジテレビ)とかたくさん深夜番組をやってました。

 やっぱりその頃からエンドロールもしっかり見るタイプだったんでケイマックスに入りたいなと漠然と思うようになって。それで『どうやったら入れるんですか?』って電話してみたら、アルバイト雑誌に求人を時々載せるからって言われて毎週チェックしてました。その間も日本テレビとかの試験も受けたんですけど、面接でも『(本当は)ケイマックスに入りたいんですよね』って言ったら『よく知ってるね』ってびっくりされて(笑)」

 やがて求人情報が出てケイマックスに入社すると『「ぷ」っすま』(テレビ朝日)にADとして配属された。約1年後、『内村プロデュース』へ。チーフADからディレクターになるかならないかという時期に番組が終了してしまうが、後継番組『内村さまぁ~ず』でディレクターデビューを果たした。そのような中、入社前も後も「お笑い番組」にしか興味がなかった関谷にアイドル番組の話が舞い込んだ。

「バラエティに強い子たちという触れ込みだったんで、アイドルだから云々という感じではなく、お笑い番組にしてもいいんだなって感じでしたね。実はその前に『浅草ベビ9』(テレビ東京)というレプロのアイドルグループの9nine、ベイビーレイズJAPAN、ローファーズハイ!!の番組をバイきんぐの小峠英二さんと三四郎の小宮浩信さんがMCでやったことがあったんですよ。そのときもバラエティ色強いものをやっていたんで、そこまで“アイドル”というのは意識しなかったですね」

関連記事

トピックス

夜の街にも”台湾有事発言”の煽りが...?(時事通信フォト)
《“訪日控え”で夜の街も大ピンチ?》上野の高級チャイナパブに波及する高市発言の影響「ボトルは『山崎』、20万〜30万円の会計はざら」「お金持ち中国人は余裕があって安心」
NEWSポストセブン
東京デフリンピックの水泳競技を観戦された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年11月25日、撮影/JMPA)
《手話で応援も》天皇ご一家の観戦コーデ 雅子さまはワインレッド、愛子さまはペールピンク 定番カラーでも統一感がある理由
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんを支える「絶対的味方」の存在とは
《ドッグフードビジネスを展開していた》大谷翔平のファミリー財団に“協力するはずだった人物”…真美子さんとも仲良く観戦の過去、現在は“動向がわからない”
NEWSポストセブン
山上徹也被告(共同通信社)
「金の無心をする時にのみ連絡」「断ると腕にしがみついて…」山上徹也被告の妹が証言した“母へのリアルな感情”と“家庭への絶望”【安倍元首相銃撃事件・公判】
NEWSポストセブン
被害者の女性と”関係のもつれ”があったのか...
《赤坂ライブハウス殺人未遂》「長男としてのプレッシャーもあったのかも」陸上自衛官・大津陽一郎容疑者の “恵まれた生育環境”、不倫が信じられない「家族仲のよさ」
NEWSポストセブン
悠仁さま(2025年11月日、写真/JMPA)
《初めての離島でのご公務》悠仁さま、デフリンピック観戦で紀子さまと伊豆大島へ 「大丈夫!勝つ!」とオリエンテーリングの選手を手話で応援 
女性セブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(読者提供)
《足立暴走男の母親が涙の謝罪》「医師から運転を止められていた」母が語った“事件の背景\\\\\\\\\\\\\\\"とは
NEWSポストセブン
大谷翔平が次のWBC出場へ 真美子さんの帰国は実現するのか(左・時事通信フォト)
《大谷翔平選手交えたLINEグループでやりとりも》真美子さん、産後対面できていないラガーマン兄は九州に…日本帰国のタイミングは
NEWSポストセブン
高市早苗首相(時事通信フォト)
《日中外交で露呈》安倍元首相にあって高市首相になかったもの…親中派不在で盛り上がる自民党内「支持率はもっと上がる」
NEWSポストセブン
11月24日0時半ごろ、東京都足立区梅島の国道でひき逃げ事故が発生した(現場写真/読者提供)
【“分厚い黒ジャケット男” の映像入手】「AED持ってきて!」2人死亡・足立暴走男が犯行直前に見せた“奇妙な”行動
NEWSポストセブン
高市早苗首相の「台湾有事」発言以降、日中関係の悪化が止まらない(時事通信フォト)
「現地の中国人たちは冷めて見ている人がほとんど」日中関係に緊張高まるも…日本人駐在員が明かしたリアルな反応
NEWSポストセブン
10月22日、殺人未遂の疑いで東京都練馬区の国家公務員・大津陽一郎容疑者(43)が逮捕された(時事通信フォト/共同通信)
《赤坂ライブハウス刺傷》「2~3日帰らないときもあったみたいだけど…」家族思いの妻子もち自衛官がなぜ”待ち伏せ犯行”…、親族が語る容疑者の人物像とは
NEWSポストセブン