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バリウム検査、腫瘍マーカー、マンモグラフィー、脳ドック…専門家が疑問を抱く健診・検査

(写真/PIXTA)

健診や検査には専門家が疑問を抱くものも(写真/PIXTA)

 体の調子を確認するために受ける健康診断や検査。しかし、受けること自体が体にダメージを与えるものもあるという。多くの医師が懸念するのは、胃部X線検査(バリウム検査)の弊害だ。ナビタスクリニック川崎の内科医、谷本哲也さんが言う。

「見落としが多く、胃がんの早期発見には向きません。そのうえ、バリウムが長時間にわたって腸に滞留した結果、腸閉塞や腸穿孔を起こすリスクすらあるのです」

 新潟大学名誉教授の岡田正彦さんも声を揃える。

「もし異常が見つかれば、最終的に内視鏡検査を受けることになるので、胃がんが心配であれば、最初から内視鏡検査を受けた方がいい。バリウム検査で何より心配なのは、放射線の被ばくリスク。さまざまな角度からX線で撮影するので、放射線を浴びる時間が長く、人体への影響が懸念されます」

 人間ドックのオプションでよく見かける内臓脂肪CT検査も被ばく量が高く、メリットよりもデメリットが上回るという。

「そもそもこの検査の目的はお腹の断面を撮影し、内臓脂肪のつき具合を見ること。そのため結果も『ちょっとお腹に脂肪がたまっている』程度で終わってしまい、病気を発見するようなものではない。健康な人がリスクをおかしてまで受ける必要はありません。内臓脂肪のつき具合を知りたいなら、腹囲を測れば充分です」(岡田さん・以下同)

 恐ろしいのは、医師の考え方や使う装置によって被ばく量に差が出てくることだ。

「同じ検査でも、最小限の枚数だけ撮影してさっと終える人と、何枚も撮る人がいるから、どうしても差が出るし、装置によっても放射線の量は異なります。特にバリウム検査と内臓脂肪CTはその量が高く、単純な胸部X線検査の被ばく量に対して、胃のバリウム検査は6〜1000倍、内臓脂肪CT検査は30〜100倍とされています」

 医療ジャーナリストの村上和巳さんは、不要な検査として「腫瘍マーカー」を挙げる。

「がんになると血液中の特殊なたんぱく質の値が高くなることから、胃がんや大腸がん、卵巣がんなどの発見に有用だとされている検査です。人間ドックのオプションで、1万〜2万円を追加すれば受けられますが、そもそも腫瘍マーカーはすでにがんになった人の治療効果を判定することが主眼で、早期発見能力は低い。前立腺がん以外の腫瘍マーカーは、健康な人が調べても意味がありません」

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