カメラにむけ中指を立てるハセベ被告
通称「卍會」は「ハウル・カラシニコフ」こと小川雅朝氏(享年32)が立ちあげたボランティア団体。「卍會」は「トー横」でゴミ拾いや炊き出しなどのボランティアを中心に活動。ハウルを慕う若者たちがあつまり、一時は200人以上が所属していると報じられ、その活動はNHKの『クローズアップ現代』でも取り上げられた。
ハセベ被告はこの「卍會」のナンバー2で「インフィ」と呼ばれていた。
インフィには、以前私も会っている。トー横広場にはキッズだけではなく30代から60代くらいまでのグループ、いわゆる「トー横ミドル」や「トー横シニア」もいるのだが、彼はそういった「トー横ミドル」の中のひとりでもあったのだ。
歌舞伎町で生活していた私は「ホス狂い」たちの取材に行き詰まると、広場にいるこういった「ミドル」や「シニア」の男女と酒を酌み交わすこともあった。2022年初夏頃、夜になると広場に集まり、車座になって飲む集団の中に、上半身裸で、白と黒のだんだら模様のド派手な羽織といういでたちであぐらをかくインフィの姿があった。その日も広場には顔を見知ったミドル女性がいたため、声をかけ「路上飲み」に参加したのだが、そこにいたインフィは、ストロングゼロ缶のロングを何本も飲み干し、酔っぱらっている様子ではあったものの、よく笑い、一緒にいた50代半ばの女性が頭につけていた100円ショップで購入したような造花を「きれいだね」とほめたり、ホームレス風のおばあちゃんがよろけそうになるととっさに「危ない!」と手を出して支えたりと「ラテンなフェミニスト」といった印象だった。
前職が歌舞伎町の有名ホストグループでホストだったこと、その後AV男優をしながら「卍会」に参加していることなど、当時ホストや彼らに「すべてを費やす」女性たちの取材をしていた私としては、インフィは興味深い存在だった。