ライフ

韓国のメディカルツーリズムが急回復、2022年にはコロナ前の50%に

韓国・ソウルの街並み(Penta Press/時事通信フォト)

韓国・ソウルの街並み(Penta Press/時事通信フォト)

※本記事は、ヒフコNEWSからの転載記事です。

 韓国保健福祉省は5月3日、韓国で医療を受ける外国人の数が着実に回復し、2022年にはコロナ以前の50%に達すると発表した。23年以降のさらなる規制の緩和により韓国へのメディカルツーリズムの利用者は一層増える可能性もある。

2019年に過去最高を記録したがコロナで激減

 医療を受けるために海外に渡航する「メディカルツーリズム」。韓国は、美容医療を目的とした旅行先として注目されてきた。コロナが流行する前、韓国でのメディカルツーリズムは空前の盛り上がりを見せていた。

 韓国保健福祉省によると、コロナが流行する前、韓国で医療を受けようとする外国人の数は49万7000人と過去最高を記録していた。韓国はメディカルツーリズムを積極的に推進し、さまざまな国の人々を誘致してきた。これまでに韓国で治療を受けた外国人は327万人に上ったと説明する。しかし、コロナの流行により、韓国で医療を受ける外国人は、20年、21年にそれぞれ12万人、14万6000人へと激減した。

 なお、韓国保健福祉部の言う外国人の医療利用者(international patients)には、韓国に居住している外国人は含まれていない。また、複数回の受診や異なる医療機関で治療を受けた場合に、別々にカウントされることもない。韓国における外国人医療利用者のカウントは、海外から訪問して医療を受けた人数を重複なく反映している。

前年比7割増加、国もバックアップ

 今回の韓国保健福祉省の発表によると、22年には24万8000人と、前年比7割増へと急速に増加した。まだ渡航制限が残っていたにもかかわらず、制限が徐々に解除され、ワクチン接種率が向上したため、外国人の医療利用者数が回復に転じたのだ。

 韓国保健福祉省は、世界のメディカルツーリズムの市場は年平均成長率9.7%で伸び、2025年までに日本円で約24兆円に達するという推測値を紹介する。

 韓国政府はこのような世界的な需要の増加を受けて、メディカルツーリズムを高成長分野と期待しバックアップする。「韓国の知名度を高めて、関連産業とのコラボレーションを通じて価値を生み出す。韓国はアジアの医療大国の地位の確立を目指す」と韓国保健福祉省。国のバックアップもあり、韓国の医療利用はこれからも注目されそうだ。

 一方でヒフコNEWSで伝えたように、海外での医療利用では合併症や後遺症の被害に遭うケースもある。利用を検討する上では念入りに情報収集するのは重要だ。

参考文献
Number of International Patients to Rebound to 50% of Pre-Pandemic Levels

美容整形を海外で受ける前に知っておきたいこと、米国の研究から学ぶ潜在的なリスク

「異物肉芽腫、しこり形成」が美容治療の合併症では最多、厚労省研究班報告

【プロフィール】
星良孝/ヒフコNEWS編集長。ステラ・メディックス代表、獣医師、ジャーナリスト。東京大学農学部獣医学課程を卒業後、日本経済新聞社グループの日経BPで「日経メディカル」「日経バイオテク」「日経ビジネス」の編集者、記者を務めた後、医療ポータルサイト最大手のエムスリーなどを経て、2017年にステラ・メディックス設立。医学会や研究会での講演活動のほか、報道メディアやYouTube『ステラチャンネル』などでも継続的にヘルスケア関連情報の執筆や情報発信を続けている。獣医師の資格を保有しており、専門性の高い情報にも対応できる。

ヒフコNEWS

ヒフコNEWSは、国内外の美容医療に関する最新ニュースをお届けするサイトです。美容医療に関連するニュースを中立的な立場から提供しています。それらのニュースにはポジティブな話題もネガティブな話題もありますが、それらは必ずしも美容医療分野全体を反映しているわけではありません。当サイトの目標は、豊富な情報を提供し、個人が美容医療に関して適切な判断を下せるように支援することです。また、当サイトが美容医療の利用を勧めることはありません。

関連キーワード

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン