スポーツ

大谷翔平の「二刀流」はこうして完成した プロ入りまで支えた家族や恩人たち

大谷翔平を支えてきた恩人や交友関係を紐解く(写真=Sipa USA/時事)

大谷翔平を支えてきた恩人や交友関係を紐解く(写真=Sipa USA/時事)

 世界中の野球ファンに夢を与えているエンゼルス・大谷翔平(28)。そんな彼もまた多くの“恩人”たちの献身的な支えがあって現在がある。大谷を支えてきた恩人や交友関係を紐解く。【前後編の前編】

 大谷は岩手県奥州市で父・徹さんと母・加代子さんの間に3きょうだいの末っ子として生まれた。

 リトルリーグで野球を始めたのは小学2年生の時。小さい頃から運動神経抜群で負けず嫌いだったが、少年野球の実力は決して図抜けてはいなかったという。

 2学年上の幼なじみでリトル、シニア、花巻東高でバッテリーを組んだ佐々木大樹氏が語る。

「2歳離れていても体力差を感じさせなかったし、たしかに実力はありましたが、リトルやシニアでは翔平よりすごい選手がたくさんいました。中学生ぐらいまでは“そこら辺にいる野球のうまい子供”という感じでしたね」

 そんな大谷の子供時代の野球生活を支えたのが父の徹さんだった。地元紙記者が語る。

「元社会人野球選手の徹さんは仕事が忙しく、大谷選手の7つ上の兄・龍太さんにあまり野球を教えられなかったらしいです。それを悔やんだという徹さんは『翔平には助言しよう』と大谷選手の指導に情熱を注ぎ、所属するリトルやシニアでは監督やコーチを務めました。徹さんは息子への助言と評価をノートに書き出して大谷選手と共有していたと聞きます」

 中学に入ってからは全国大会に出場するなど徐々に頭角を現わし、中学3年生ではすでに身長が190cm近くあった。

 中学卒業後、幼なじみの佐々木氏の誘いもあり、3つ上で憧れの菊池雄星が在学した名門・花巻東高校に入学。そこで大谷が薫陶を受けたのが、佐々木洋監督だ。

「大谷は1年生で4番を打ち、秋からエースを務めました。しかしマッチ棒のように線が細く、故障が多い大谷の体を見た佐々木監督は『まだ骨の成長が止まっていない』と判断し、特別に練習を早めに切り上げ睡眠時間を確保させたり、食事やウエイトトレーニングの助言をした。大谷の将来性を見込んだ“特別扱い”が、大谷の飛躍的な成長につながりました」(スポーツ紙デスク)

 高校2年生の春には「みちのくのダルビッシュ」と称される速球派として鳴らした。そして高校3年の夏、岩手県大会の準決勝でアマチュア野球史上初となる球速160キロを記録する。

 NPBの全球団が注目する選手となったが、本人は高校卒業後、「即メジャー挑戦」を表明した。

日ハムは「球団で一丸」

 ところが2012年のドラフト会議で波乱が起きた。北海道日本ハムファイターズが大谷を強行指名したのだ。

 この時、大谷を必死で説得したのが、日ハムの栗山英樹監督と山田正雄GMだった。

「栗山監督は強行指名について、何度も『申し訳ない』と頭を下げました。入団交渉の場では、山田GMらがアマ球界から直接メジャーに挑戦することの難しさなどについて資料を用いて丁寧に説明し、日ハムでの二刀流プランを披露しました。栗山監督と山田GMの熱意と説得力に心を打たれた大谷と両親はメジャー行きを翻意し、日ハム入団を決めました」(前出・スポーツ紙デスク)

後編に続く

※週刊ポスト2023年6月2日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
相撲協会の公式カレンダー
《大相撲「番付崩壊時代のカレンダー」はつらいよ》2025年は1月に引退の照ノ富士が4月まで連続登場の“困った事態”に 来年は大の里・豊昇龍の2横綱体制で安泰か 表紙や売り場の置き位置にも変化が
NEWSポストセブン
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト