そんな彼女がワンショルダーのロングドレスを身にまとい、『~SECOND~』の進行を懸命にやっていた。ちなみにリポーターは小室瑛莉子アナ。こちらは永島アナの後、『めざまし8』の月~木曜のメインキャスターを担当している有望株で、宮司アナも小室アナもこれからのフジテレビを背負って立つ女性アナウンサーであることには間違いない。だが、やはり“足りていない感”は否めない。
『バイキングmore』が始まった2020年10月期、14時台に「2時プロジェクト 気になってるの私だけですか?」というコーナーがあった。月曜日から久慈暁子、藤本万梨乃アナ、永尾亜子さん、佐久間みなみアナ、杉原千尋アナが一曜日ずつ担当。本来なら同コーナーは『笑っていいとも!』の「テレフォンアナウンサー」のように新人アナの“顔見世”であり、彼女たちにとっては“勉強”であり、大きく売り出せるチャンスもあったはずだ。
担当ディレクターは『トリビアの泉』のような“疑問”を解決するコーナーを目指し、ネタにはとことんこだわり続けていたのだが、14時というのはウラで『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ・日本テレビ系)や『ゴゴスマ‐GO!GO!Smile!‐』がスタートする時間。冒頭に大ネタが入れば視聴者はそちらにチャンネルを合わせてしまうし、『バイキングmore』のメイン視聴者だったF3層、F4層は、14時からリピート枠が強いテレビ朝日を見る傾向も強かった。
当然、コーナーはプチリニューアルを重ね、担当女性アナウンサーの“チャレンジ企画”のような日も増えていったのだが、年配の女性視聴者にとっては(いったい何を見せられているのだろう)(そんなことは、もう知っている)といった感想がチラホラと増えていき、結果、同コーナーは終了。
それでも彼女たちには他に活躍の場があったはずである。ところが5人の女性アナウンサーの内、久慈と永尾さんは退社してしまった。他部署への異動が報じられた永尾さんはフジテレビらしからぬキャラクターで、うまくいけば山崎アナのようになったかもしれないと思うと残念だ。そして、あのカトパン同様、国立音楽大学卒の杉原アナは、採用時きっと「加藤(綾子)と同じ音大卒」ということで、色々な可能性を期待されていたと思われる。番組のクイズコーナーで珍回答を繰り返したり、購読紙にスポーツ紙を挙げたりと、やはり、かつて、こういう先輩女性アナウンサーが居たフジテレビだったが、あまりいいところがなく今に至る。
コロナ禍も大きく影響していたと思われる。社会全体が「はしゃいではいけない」雰囲気になる中、バラエティに強い女性アナウンサーが多い印象のフジテレビでは若手の出番が減ってしまったようにもみえた。
「取材力に定評」「明るさと度胸の良さ」
藤本アナに話を戻そう。「東大卒の才媛」ではあるものの、前述のとおり、彼女は『~向上委員会』の歴代アシスタントの中で、もっとも高評価。『Mr.サンデー』でタッグを組む宮根誠司氏も「さんまさんとも一緒にやっているというのは“暴れる宮根”を軌道修正してくれるはずという思惑が透けて見える人選」「何事も失敗を恐れず、ガンガン行っていただきたい。予定調和はつまらないので、一緒に暴れましょう!」とエールを送っている。
同番組の宮下佐紀子プロデューサーは「人に寄り添いながら素顔を引き出す取材力に定評があり」と言い、「明るさと度胸の良さ」「前向きでガッツがある」「若い世代の意見や疑問などを素直にぶつけてくれるはず」と期待を寄せている。
『Mr.サンデー』といえば、滝川クリステルから始まり、椿原慶子アナ、三田友梨佳アナときて、山崎夕貴アナが宮根氏を支えてきた。山崎アナが担当することになったとき、「恐らく『Mr.サンデー』は大きく変わる」「良い意味で“夫婦漫才”みたいになればいいかなと思います」と宮根氏は言っていた。ただ、同じことを視聴者が期待していたかというと、それは疑問である。どちらかといえば軟派な情報番組を担当し続け、とんねるずらバラエティタレントとの相性も良かった(だから夫も芸人なのだろうが…)山崎アナの『Mr.サンデー』起用には、やや違和感を抱いていたのではないかと思う。それでも、力のあるアナウンサー。もう少し経てば見ているほうも慣れるのではないかと思っていた矢先の産休となった。
果たして、山崎アナの後任として、椿原アナと三田アナの“いいとこどり”とも言うべきルックスとスキルをもった藤本アナが満を持しての起用となったのである。